トランプルーレット-1
「…とりあえず、私とマーシェ、レルミーとカグヤにそれぞれ50枚ずつ0Gコインを配っておくよ~。」
「まぁ、普通のルーレットだと面白くないからな……。なので私はトランプルーレットの方をしようと思っている。」
「……まぁ、亜種を大量に作ったから剣城ちゃん達にはわからないかも知れないからルール説明しておくよ……。特に剣城ちゃんはディーラー役だからよく聞いてね。」
そう言われてトランプルーレットの台へと進むと、そこには53の穴という通常のルーレットよりも遙かに多い物が置かれていた。その穴には赤と黒の他にハートやスペード等のトランプの記号付きの物が存在しているのだった。
「まずこのルーレットの特徴は選択肢が多く見えるけど、実際には違うんだよね~。最初にこの山札から5枚カードを引く。それ+ジョーカーのみが選択肢となるわけ。」
「……いや、それかなり当たらなく無いか?」
「まぁ、そうなんだけどね。でもこれ定石とかこのカードが最強だという仕組みは入れてないから。」
そう言いながらマルフはトランプをシャッフルしてからルーレット台にそれを置いた。するとトランプの周りに魔方陣が現れ、先程までとは違うルーレットの並びとなっていた。
「この辺りは魔方陣とかでどうにでもなるからね……。娯楽の為に色々と進化しているのだよ、我が国はね!!」
「……だからと言って紙に書いた単純な図を貼り付けるだけでスーパーコンピューター並の処理能力と機能を実現しないで欲しかったよ……。」
「いや、仕方が無かったんだよ。だってこの世界だとコンピューターを組むための素材が手に入りにくいんだって。それに素人が創り出しても無理だろうからいっその事こちらの世界の力を存分に発揮して……って感じだったね。だから羊皮紙と羽根ペンというコンボでこれを創り出したわけだよ。」
まぁ、疑似的な魔力血路と同じ様な仕様なのだと思いながら私はさらにルールを聞くのだった。まぁ、普通のルーレットとあまり変わらないよな?とも思いながら。
「まぁ、レイズしたコインは移動出来てもキャンセル出来ないって事とレイズと移動が出来るのは球がルーレットに落ちるまでという事は馴染みがある様な感じだけど。」
「……まぁ、私はプレイする側じゃないから特に気にしないが……。選択肢に関してのルールを聞いておきたい。」
私がそう言うとマーシェが大体のルールが書かれた物を持ってくるのだった。まぁ、殆ど箇条書きなのだけど。
・球はルーレットの参加人数の数と同じになる。ただし最高12個以上にしてはならない。
・トランプを5枚引いた後に選択肢を選ぶ時間1分が与えられる。
・選べる様になるのはトランプの色、マーク、数字が関係している。ジョーカーはこれに関与せず毎回選べる。
・同じ数字とマークだと50倍。ただし、手持ちトランプと同じ物しか選べない。『ハートの5を持っている時に持っていないダイヤの5をレイズ対象にする事は出来ない。』
・同じ数字と同じマークだと10倍。同じ数字と色だと8倍。どちらかが自分の手持ちにある場合のみレイズ対象に出来る。
・同じ数字の場合は6倍、同じマークの場合は4倍、同じ色の場合は2倍となる。
・1~4、5~8、9~Kの中から選ぶ場合、5倍となる。ただし、範囲内のカードを2枚以上持っている事が条件となる。マークを付けると7倍、色をつけた場合6倍となる。
・ジョーカーを選ぶ際は他の選択肢を選ぶ事はできない。しかしジョーカーを使い外れた場合、次回のドロー時引くカードを2枚減らさなければならない。
・ルーレットの球の動きを阻害する行動を取った場合、持ち金の半額を納めるか強制退場となる。
「まぁ、後から追加されるルールも多いけど、今はとりあえずこれで良いかな?」
マルフはそう言いながら私に同意を求めてきた。まぁ、特に否定する理由も無いので私はそれに頷いた。まぁ、球が複数あるので比較的当たりやすくはなっているだろうと思いながら最初の勝負の準備を始めるのだった。