ランダムポーカー-2
「……なんでこうも被るかな……。おかげで失った物は無いけど凄く疲弊しているんだが……。」
「確かに顔には出てないし私はイカサマも使ってない。だから完全に偶然だね~。まぁ、これは私の運なんだろうけど。」
実際そうだ。レルミーの立ち位置を変えてから2回行った結果、同じ数字で同じ役を引くという運を見せたのだ……マルフの方が。いや、これ完全にマルフが何かしている気がするんだよな……と思いながら彼女を見つめると、やれやれとした表情をして彼女はある物を取り出した。
「『運命神の加護符』……ですか?」
「そうだね。私はこの世界で産まれたときから持ってた物だよ。これは持っていると幸運を呼び寄せるアイテムだけど、体に貼ることでさらに強くなる。その分、適性が無いと廃人になるけどね。」
レルミーが知っている程有名らしきアイテムは、正直言ってかなりのチートアイテムなのだった。私が一口含んだ『王魂の林檎』と大差無い気がする。ただ、持っているだけで効果を発揮するし丸呑みして喉を詰まらせて死ぬというデメリットが無い事を含めると性能的にはこちらの方が良いのでは?とも思えた。
「『王魂の林檎』と似たような物か……。」
「?なんだいその『王魂の林檎』って。総理大臣になってから他の国とあまり関わりを持っていないから全く知らないんだけど……。」
「知らないなら別に良い。大体『運命神の加護符』と同じ様なメリットとデメリットがあると言えば大体伝わるしな。」
とりあえずそう言ってはみるが、持っているだけで3枚でのストレートの組み合わせが同じだったり、6枚でのストレートフラッシュの組み合わせも同じ数となるのは流石におかしいだろと感じてしまう。
「で、それを見せた理由はなんだ?」
「いや、願っただけでこの様な結果が出る代物だからね……。なので私はこれを一旦手放す事にするんだよ。とゆーわけで、レルミーちゃんにそれを持ってて貰おうと思うんだ。まぁ、持ってるだけなら誰にも害を与える事は無いしね。」
マルフはそう言った後にレルミーに向かって『運命神の加護符』を投げた。……まぁ、これからは本当に実力勝負になるのだろう。そう思っていた私はレルミーがダイスを振るのを待つ。ただその時………信じられない事が起こった。
「………いやいやいや、マジですかこれは。」
ルール上は全く問題ない。ただ、正直言って問題ありとして処理したい……そんな結果が待っていた。簡単に言えば……10面ダイスが割れた。ピッタリ真っ二つへと割れたダイスは2と5の数字を出した。
「……まぁ、小さい数を10の位にするから……今回は25枚での勝負になるね。」
恐らく元の世界でも前人未聞である25枚でのポーカーが始まるのだった……。ただ、マルフがとち狂ったルールを提案してきた事もあったのだけどね……。