カグヤの腕前-3
「…そういえば、カグヤは『美食嗅覚』と『闇魔法』以外にどんなスキルを持ってるんだ?」
「……一応『短剣術』と『絶食』を覚えてますね。ただ、『絶食』はレベルがマイナスになっているのでそろそろ消えそうですけど。」
スキルが消えるなんて事あるのか……とも感じながら、私はカグヤのスキル、『絶食』について確認する。すると確かにレベルがマイナスとなっており、あれだけ食欲旺盛になっているのだろうと感じたのだった。
「……なんというか、先天性のスキルはなにかと変な感じになる事が多いんだな……。」
「いや、そうでもないですよ?私は『歌』でしたし、レルミー姉様は『思考加速』でしたしね。」
「……私は『鉈術』だった。その辺りは適性とか関係ないと思いますよ?」
……まぁ、シェドンは先天性のスキルの中に魔法関連が少なく、後天性という形でササッと習得したらしい。まぁ、最初が空っぽだった為かほぼ全種類の魔法を習得できたらしいのだが……あくまで基本的な魔法であり『時空魔法』やら『煉獄魔法』、『殺戮魔法』等の特殊な物は覚えなかったらしい。
「……まぁ、アッシルベン魔帝国では特殊な魔法なんてあまり見つかっていません。『通信魔法』は『雷魔法』の派生ですし『生活魔法』もある意味他の属性を組み合わせただけの感じですからね……。なので属性や物理法則を無視した魔法は建国当時から見られていませんね。」
その言葉にある意味ホッとしてしまう。素で『殺戮魔法』や『時空魔法』使ってくる奴がいたら私は確実に死ぬだろうしね……いや、四肢切断は体験してるし死にかなり近い状態も体験してる。気まぐれで『王魂の林檎』を喰わせられなければ確実に死んでいたしね……。
「でも『闇魔法』があれば虐待してきた両親くらいどうにか出来たんじゃ無いか?」
「いえ、出来たとしてもその後どうしようかと考えていましたし、あの臭いの中で正常な判断は出来ませんでしたよ。それに両親を殺しても組織の人間がいましたからね……。子供の体じゃあ逃げられるまで成長するのを待つしか無かったんですよ。」
カグヤはそう言いながら笑っていた。それを見て私はそれなら問題ないかと感じながら、バレーシア農帝国へと到着した事を確認した。するとシェドンを待っていたのかレンが真っ先に飛び出してきてシェドンを抱きしめる。それを見てカグヤは子供の様にほわ~っとした目でそれを見つめていた。
「2人にはずっとそのままでいて欲しいですね。」
「まぁ、そうだよなぁ………。」
私は父親と書類上の継母に恵まれず、カグヤは両親に恵まれなかった為、この2人がそのまま子供に害の無い性格のままでいて欲しいと心から願ってしまうのだった。