ミューキの弟子-2
カグヤはひつまぶしを食べ終わった後、両手を合わせてごちそうさまという形で合掌した後、荷物をまとめる為にと部屋へ向かっていった。なるべく早く出てしまいたいのかその足取りは非常に速いな……と思いつつ、私はもう少しミューキと話してみることにした。
「少なくとも私達はゴルフェス軍帝国に向かう気は無いが、一応缶詰やらの携帯食を発明したって奴について調べておいてくれないか?そいつが25歳だったならば転生者である事はほぼ間違いでは無いからな……。」
「分かったよ。でもなんで帝高校の敷地内にはあれだけ霊が集まっていたんだろう?その辺りが凄く気になるんだけど。」
「そればっかりは分からない。ただ、1回そこを通りがかった奴も引き寄せられて転生させられた可能性はある。今回の私達の転生はかなり規模が大きかったんだ。なんせ隕石が衝突したんだからな。」
『メテオ・エンペラー事件』は現実世界での私達を為す術も無いまま死に追いやり、敷地内での生存者はいない。ただ、これまでは食関連やら死闘やらで頭の中を切り替える事は出来なかったのだが、微妙な矛盾点が存在している様に思えた。
「……霊の方も全部集められ、出張で始業式から暫くいない教職員や不特定な日程で学内に侵入していたフェーリアとペトラが揃っている時に転生の鍵となる隕石が落ちてきた……ここまでならあんまり矛盾は無い。ただ、転生の鍵はもう一つある訳だ。」
「それってなんなの?」
「スマホゲームのガチャだ。とある教師がガチャを引いた事も鍵になるんだよ。でもそうなるとおかしい事が少しだけ増える。まず、なぜその日に当てる事が出来たのか?という事と、元々はその教師だけが転生させられる様になっていた事だ。」
「それが何か関係あるのかな………?」
大ありだ。実際その教師だけを死なせるならばテキトーに心筋梗塞やらでの急死にすれば良かったのだ。そうすれば教師を殺すためにわざわざ隕石を降らせる必要も無ければ全ての生徒と教員、その他侵入していた者が揃うという偶然を創り出す必要も無い。
その為、私は逆を考えた。……簡単に言うならば……隕石が落ちてくる事は必然だった……つまり、『メテオ・エンペラー事件』はガチャの結果から起きたのでは無く、元々起きる筈の物であり……ガチャで転生すると教師が引いていなければ私達はただ死んだだけになったのだと思う。……そして恐らく、全ての教師や生徒が集まったのは……その隕石の運命力なのだろうと思えてしまう私なのであった。