ラグバレー聖国とゴルフェス軍帝国-4
「3人の内2人は『王魂の林檎』を丸呑みした時、それを喉に詰まらせて死んだんだって。で、もう1人は飲み込めたけど意識がふらふら~ってなって階段から転げ落ちて死んだらしいよ?」
……つまり、王になる適性が無かった訳かと思えてくる。恐らく人工的に作られた『王魂の林檎』でも餞別機能はあるらしい……というか、無かったらかなり面倒なアイテムになるだろうとと思えてくる。ガンダレスの様に即死状況からすぐに復活出来る回復力を自在に使えたら軽く世界征服できると感じてしまう。
ただ、ここで私はおかしな事に気付いた。魔神のヒドラは否定しているが、本来『王魂の林檎』はガンダレスの様に使うのが普通なのだと思う。実際『王魂の林檎』の実自体に選別機能が着いているのにも関わらず、全員丸呑みというしなくても良い試練をしているのだ。
だが、逆に考えると『王魂の林檎』を丸呑みに出来る程成長してから『王魂の林檎』を手に入れる者が多いわけだ。実際子供の小さな口では普通の林檎でも丸呑みするどころか口の中にそのまま入れる事は無理だろう。つまり囓る感じで食べるのが普通なのだ。
ただ、ガンダレスは子供の頃に『王魂の林檎』を手に入れている。……この違いはなんなのだろうか?とも思いながら私はもう少しだけ『王魂の林檎』の事を考えようとしていた。しかし段々と面倒になってくる。下手するとまた魔神からそれ関連の依頼が来た挙げ句こうして依頼以上に面倒な国の立て直しまでする事になるのだ。まぁ、食材の安定したルートが手に入るなら大して苦にならないのだが。
「ただ、適合者になる為の方法もあったんだろ?なんでふらふら~ってなった奴がいるんだ?残りの2人もなぜ喉に詰まらせているんだよ。」
「多分その条件を満たしていなかったんじゃ無いかな?嘘を言えば食べる役にはなれるだろうし、喰った奴もそれが間違っていると考えたんだろうね。その結果が全員死亡の中で最も滑稽な死に方になってしまったんだけど。」
ただ、適合者になる為の方法の中には『闇魔法』を持つ子供が生存している者はなりにくくなるとかもあったらしい。それに加えて子に厳しく出来る者ともあった。つまり虐待がそれなのだろうって私達の世界では有り得ないんだがな……と思う。
「まぁ、そろそろ来て貰おうかな、私の弟子に。」
ミューキは『王魂の林檎』についての話がややこしくなり、本筋からも大きく外れるためか、話を切るために自分の弟子を呼びに行くのだった。まぁ、『王魂の林檎』は『鑑帝』でも分からないことが多すぎるので考えるだけ無駄な事も多いんだよなと感じてしまうのだった。