ラグバレー聖国とゴルフェス軍帝国-2
「……とりあえず自己紹介しておくかな。私は黒華鉄 剣城。こちらの世界に転生したのは数ヶ月前だけど、経緯は似たような感じだ。」
「……マジか……。アタシの元の名前は伊月 海幸。あの頭のおかしい食生活の場所から逃げてこちらで料理をして生計立ててるわ。ここならまだ許容範囲内だしね。宗教の決まりで制限してるだけだし。」
ミューキはそう言いながらひつまぶしをゆっくりと食べていた。まぁ、ここまで勘当できるという事は『アッシルベン型糖尿病』は発症していないのだろう。ただ、泣きながら食べているのでぽかーんとしているシェドン以外からは若干引かれていた。
「一応鰻はこの世界にある事は分かったけど、こちらで食べるには遠いわよね……。私は両親が有名なホテルのシェフだったり兄と妹が料理研究家、従兄弟が栄養士、従姉妹と叔母が料理系の大学の大学教授だっただけだから自然と料理に関する知識が頭に残っていただけだから輸送方法とかの知識は無いしね……。」
「とゆーか、なんで死んだ後に帝高校の敷地にいたんだ?」
「なんとゆーか、私も元メイド目指していたというか、実質メイドが職業だったのよ。だけど成績が芳しくなくて……従者として供に入学出来なかったわけ。とゆーか、あれ合格できた人いるの?」
まぁ、一応知り合いの黒木がそれだ。まぁ、黙っておこうと思える。今は『監獄魔法』で『ミュートプリズン』というなんともご都合主義な透明な檻の中で話している感じだが、大声出されると解除されるんだよね…。
「まぁ、結局は買い出し途中に子供を庇ってトラックに轢かれてアッサリと死んでしまいましたという感じですね。まぁ、その子供は脱走したとある財団?のお坊ちゃんらしかったので後日私の仕えていた家は何かしらあったらしいですけどね。」
「少なくとも私の記憶ではそんな事は噂に聞いていないからごくごく最近だったかかなり古い時代のどちらかだな。」
まぁ、その辺りは気にしない事にしよう。そう思いながら私は『ミュートプリズン』を解除してシェドンのぽかーんとした顔を戻すように軽く小突いた。するとハッとしたシェドンはミューキを見つめた後に良かったと一言だけ言うのだった。
「……そういえばここはマシだと言っていたがゴルフェス軍帝国に関しては何か知らないか?」
「う~んと、とりあえず最近携帯食の味が向上してる……というか瓶詰めや缶詰という謎のアイテムが手に入ったという感じになってる。その携帯食の関係で別の国との戦争に控えているって感じだったかな。まぁ、海の向こう側を攻めるには持って来いな進化だろうけど。」
「……少し気になる所はあるな……。まぁ私は交渉には着いていかないからあまり関係の無い話だがな……。」
私はそう言ってとりあえずミューキにスマホを渡しておく。これはフレンドギフト関連もそうなのだが、情報交換する相手には持って来いだしな……。それに海を越えて闘う相手が元ハンバルシア軍帝国の領土とも限らないしな。ナヌレス軍国と違い海を経由すれば直接攻める事が出来る訳だしね。