アッシルベン魔帝国との取引-5
「……これで、取引は終了だから伝えて貰いたい事は国民に話して置いてくれよ。後シェドンは後からじゃなく今日連れて行かせて貰うからな。一応他の国との取引の際にいて貰うためにもな。」
少なくとも他の国と円満に取引が出来たという印象を持たせておきたいのだ。……実際ハンバルシア軍帝国の評判は悪く魔神から殲滅対象として指定される程だったのだ。いくら代替わりしたとしても円満に解決する事は難しいだろう………アッシルベン魔帝国も私達を洗脳しようとしてきた事からも明らかだしね。
「……じゃあサッサと料理人一人連れていくか。シェドン、案内頼むぞ。」
「分かりました。それでは迎えに行きましょうか。」
「…言っておくが料理長ベンガスと副料理長バミラは連れていくなよ?あの二人は夫婦でもあり国一番の腕だからな。」
グレムリンが料理の上手い代表格は連れて行くな注意してくるが、オルトビとシェドンは白い目で見ていた。実際この国の王に気に入られる料理とは砂糖と塩がどっぷりと使われる物ばかりである為有り得ない物を見る目でグレムリンを見ていた。ちなみにクレフィはどちら側でも無い……まぁ、ジューマの実験に付き合わされて味覚が狂ってしまったのだろうしな。
その内クレフィはアッシルベン型糖尿病の治療法の証明と称して使うことになるかもしれないし、既に二人連れ出すことが確定している為声は掛けずに私達はシェドンの案内の元、厨房へと向かうのだった。
「……で、この厨房どうなってるんだ?もはやまともな料理が出来るとは思えないほど砂糖と塩で圧迫されてるんだが……。」
「…一応、出来ますね。ただ私からみると事故が起きても大丈夫!を無理矢理実現させているかんじですね。最悪の場合砂糖にまみれた物か砂糖その物が食事として出されますから。」
簡単に例えれば市販されている上白糖3㎏を夕食だと言われ出されたという感じになるだろう。もしくはそこに米やらサラダやらが出てくるかも知れないが。
「……とりあえずバレーシア農帝国に連れていく料理人を連れてきますね。」
そう言ってシェドンは砂糖や塩の入った袋又は瓶で埋め尽くされていない唯一のキッチンのある方向へと向かう。するとそこでは仲の良さそうな男女が色々と話ながらレタスを切っているのだった。
「レン、リン義姉様。少しお話があるのですが……。」
「シェドンがこちらに来るなんて珍しいな。って、ハンバルシア軍帝国のお姫様が2人!?それと……誰だ?」
「レン、そんな事は気にしない方が良いよ。しかしなんで向こうの王族がこんな所に来ているんだい……?」
まぁ、隠すような事でも無い為私は先程までにあった事を全て話した。まぁ、この2人にしか聞こえないような形にしたけど。するとリンが淋しくなるねぇ……という目でレンを見つめるのだった。