新生活の始まり-1
………………寮に入ってから二週間………やれオリエンテーションだやれ編入者春季講習だという事で、全くプレイが出来ずにグラボーのフィーバータイムガチャをする事が出来ないままの新生活が続いていた。…………と、ここまででも寮生活にうんざりし、元々予定していた引きこもり生活に帰りたい…………と思いながら私は自分の着ている制服を見てため息をつく。
私の今の格好は黒を基調にして青いラインを付けたブレザーに、黒一色のズボン……………。そう、ズボンである。明らかに男性用である。これは私がスカートだと身の振る舞い方一つで注意をされるという事が面倒だからこうしたわけでは無い。その証拠として私はブレザーの裾を全て折っている。そうしなければブレザーの中に手が埋まる、足の方も捲り上げておかないと地面を引きずるというか、靴で踏みながら進むという事になるために特例で認めて貰っている。
まぁ、これには帝高校のシステムが絡んでいる。簡単に言えば名家の人間は帝高校に進学させる予定の子供の名前と性別を登録しておく。すると、色々とある手続きを取り消さない限りその登録された子供は高等部からは必ずそこへ入学する事となっている。
ちなみに、帝大学は生徒の人数分の授業の為の設備を手配している為、入学前3年以上前に登録しておいてから入学1年前以降にキャンセルすると、その予算を無駄にしたという名目で多額の賠償金を払わなければならない他、その原因が病気などで無い限り、風評被害に遭うことも多い。それが原因となって潰れた会社などもあるからなぁ…………と思ってしまう。
………………本当はどうでも良かったのだがセバスなどの美華家に使えている使用人達が不当な扱いを受けないように入学したのだけど……………あの糞親父が登録を早々に消していれば、ややダボダボな男性制服を着ることも無いどころか、引きこもり生活を続けて入れたのになぁ…………………。卒業したらぶん殴るのを通り過ごして半殺しにしてしまおうか………とも考えてしまう。
名門な金持ちの学校である帝高校の人数は非常に少ない。簡単に説明すると、一学年につき三クラスでクラス毎に男女五人ずつだ。今日は4月1日という事だが一貫校の為にいきなり授業である。オリエンテーション的なLHRは五時限目と六時限目である為、私の事についてすら何も言わずに一時限目の英語の授業は始まった。
しかし、一限目の授業の終了を告げるチャイムが鳴ることは無かった。なぜなら……………………………帝高校の高等部の校舎に少々大きな隕石が落ちて、後から知ることだが帝高校高等部の校舎があった場所はただのクレーターとなってしまったのだから…………。あーあ、あの糞親父のせいで理不尽な死に方をしてしまったよ…………。
そう思いながら、私はそっと目を閉じた。そして、次に目を覚ましたとき、私はそこが死んだ後の世界だと実感出来なかった。……………………簡単に言えば、帝高校の生徒と教職員全員があの隕石によって死に、その死んだ人間の殆どが元の体のまま別の世界に転生したのだ。…………………なんか、厄介事に巻き込まれそうな空気だと思いながら私は辺りを見回してみるのであった。