アッシルベン魔帝国-5
食事を終えて宿から出た私達はアッシルベン魔帝国の王城へと向かう。ただ、糖分を摂取したいが為か異様な光景が広がっている……というのもソフトクリームを両手で持って食べているのかと思えば砂糖と塩の塊をソフトクリームらしくしただけという様な形で普通の物を立ち食いしている奴等は少数派だったのだ。
その関係であのう巻きが天国へと導いてくれるレベルの美味さという事を改めて認識する事が出来てしまったのだ。多分取引が長引けばより神格化してしまうだろうしなぁ……。その時は二人にも食べさせて味覚をどうにかしておこうとも思うけどね……。
「……ハンバルシア軍帝国改めバレーシア農王国の代理王黒華鉄 剣城、継承権1位のレルミー・アルド、2位のヘレン・アルドだな?入ると良い。王がお待ちだ。」
衛兵の男が私達を確認するとそのまま門を通して貰えた。まぁ、真面目な奴がいたから良かった物の、もう一人は王族の来訪は無かったと誤魔化して色々としそうなタイプだった。まぁ、1回も成功した事は無いらしい……レベルが低すぎて失敗する感じなので自業自得に近いのだけどね。
「……あら、お久しぶりでございますね。クレフィ・マーカー嬢。相も変わらず煌びやかな衣装ですこと。」
「貴方こそ、ここ数年どこに行っていたのかしら?頭のイカれた男と山賊をけしかけてくるのはもうおやめになったのかしら?」
「姉上、その辺にしておいてください。姉上もレルミー様も婿がいないのは変わらないじゃありませんか!!」
「シェドンは黙ってなさい!!私はどうしてもこのレルミーに勝たなければならないのです!!さぁ、私の新魔法『螺旋氷』を喰らうが……って、あれ?使えない………?」
恐らくアッシルベン魔帝国の王女であるクレフィとシェドンに王の間に向かう際に遭遇した。まぁ、どうせ王族全員と話さなければならないのだが……と、思いながら軽く『鑑定』してみるとクレフィはそこまで太っているようにも義足義腕をしてる感じにも見えないがアッシルベン型糖尿病になっていた。
しかしシェドンはなっていなかった為に王族の食事体形はどうなっているのかと思いつつ、私は2人が後にバレーシア農王国に損害を与えるように裏切るかという事を検証する『真実の鏡』を使用する。
すると2人とも裏切る事は無いとあったが、シェドンはクレフィを1回裏切っている事が分かった。まぁ、裏切りとは言ってもクレフィが「私に婚約者が出来るまで恋愛禁止」と言っているのにも関わらず厨房で働く幼馴染と既に婚約を交わしているという事なのである意味裏切りだけど黒くは無いなと感じるのだった。