新たな二人の王女様-1
「……にわかには信じられませんね、お父様が亡くなり、私も1回死んでいるとは。」
「そうだろうな。まぁ、お前は農民達を裏切る事はしないだろうから、今後私の作った方針で国を運営するのに丁度良いと思ったわけだ。もっとも、人工の半数以上を占めていた軍は全滅しているがな。」
「……あの宣誓を僅かに聞いた時からその様な覚悟はありました。ただ、気掛かりなのは行方不明になっているレルミー姉様の事です。双子の兄様姉様はこの国に戻ってくる事は無いでしょうが…」
ヘレンは何の支障も無く生き返った事に戸惑いながらも、現状を把握しようとしていた。まぁ、自分が殺される前に兄が何人も死んでおり、死んだ後も兄2人に自分の父が殺されているのだから、混乱するのも無理も無い話だ。一応、本当に死んだ後に生き返った経験を私は1回している訳なので同情も可能だし。
「……まぁ、とりあえず血の海になった場所は浄化された後に畑にするか街にするかは考えるとして、馬鈴薯を名産品として国が回るようにするのが先だな。その為にお前を生き返らせた訳だし。」
「……まぁ、お父様は戦ばかりで国を強くしていただけですからね……。貿易のみで回せる様になるのは大歓迎ですよ。」
ヘレンはそう言いながら王の多目的ホールに着いてきている。ただ、ヘレンは私が気づいていなかったというか、あの王の子の関係で頭がショートした事なども含めて忘れていた場所の存在を平然と言い放つのだった。
「そういえば地下牢に関しては調べたのですか?お父様は母様達が若い頃にしか囚人をいれる事が無かったと聞いていますが。」
「行き方が分からないから行ってないな。まぁ、一応片付けてはおかないといけないな。一応犯罪者を放り込む場所はあった方が良いわけだし。」
そう言いながら私はヘレンに地下牢への行き方を教えて貰った。本来ならば地下牢の中は魔方陣の関係で魔法が一切使えないらしいのだが、魔力の主であった王が死んだことからその効果も消えている。ヘレンが部屋から出ても何も起きなかったのもそれが関係している。
まぁ、地下牢への道がまさか王の多目的ホールにある玉座の裏からとは誰も思わないだろと思いながら私とヘレンは地下牢の中に降りる。ただ、王の多目的ホールに繋がっている為か薄暗い雰囲気はあってもかび臭さ等は一切感じなかった。
「ありゃ、ヘレンも異端分子としてここに連れてこられたのかな?まぁ、私の場合と違って何も混じってない……という事はそこのお嬢ちゃんがお父様を殺したのか。」
「……なんで、こんな所にいるんですか……レルミーお姉様…。」
「そりゃ反逆罪で牢の方に行かされたからだよ。まぁ、他にも囚人はいたけど全員朽ちていって骨しか無いからこの地下牢にいるのは私一人だけだね。」
レルミーという王の子はヘレンと同じ心構えで国民と向き合うタイプの少女だった。ただ、何故かは分からないのだが彼女が笑った時に牙が見えたのだが……と思う私なのであった。