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王の子達-4

これで残るはAとの子である長男と三男だけとなった。まぁ、チェギスが次男だと知ったのはヘレンが錯乱して色々と話していた結果得た情報なのだが、あまり関係ないように思える。


「……ただ、王の子の護衛ってここまで弱い者なのか?」


『殺戮帝』の姿のままである為か身長が縮んだ事を補える程の身体能力を発揮していたのだが、まさか手刀だけで何人も死ぬとは思わなかった。なので先程殺したヘレンの時に感じた罪悪感よりも「うわ……王の護衛……弱すぎ……?」と呆れた感情しか湧いてこなかった。


「でもまぁ、これで長男と三男の部屋に入れる訳だ。」


私はそう言いながら扉を蹴飛ばしながら中に入る。……だが、正直蹴飛ばさずに入った方が良かった様に思える。……分かる人には「やらないか?」の一言で全てを察するだろう。そう、長男と三男はみだらな行為をしていたのだ……男同士で。


「……これ、見たくなかったな……。まぁ、私怨で殺す訳にもいかないからとりあえず『真実の鏡』と『鑑定』使ってみるか。正直もう見たくないけど。」


とりあえず王族の中には男色家がいるという事で良かったのだろうが、正直言って『グラボー』という乙女ゲームをやり続けていた私でも、リアルで男がまさぐり合っているのを見たくは無い。記憶を操作できる力があればさっさと殺して記憶を消している所だ。だが、ここでヘレンみたいに引き継ぎを任せられる素質が合ってしまったら……と思ったのだが、幸いにも2人には農民を敬う心は無く、裏切る気満々だったのでさっさと殺すことにした。


「『ラスカーニョ』。……まぁ、血の海がベッドの上に完成しただろうけど、気にしないでおこう。あの光景をもう二度と見ることは無いだろうし。うん、さっさと忘れよう。どうせこれ以上の光景は見る事にはならないだろう。」


ただ、『ラスカーニョ』は暫く使えないだろうと思う。……というのもあの汚らわしく思える2人を殺した武器なのだ。まぁ、『ラスカーニョ』は汚染の神『アルグラッテフ』が人間に捨てられた武器を元に構築した鎚であり、『アルグラッテフ』の持ち物の中でもっとも汚れの少ない物と呼ばれている。故に汚れ物を潰す際の例えとして使われる事がこの世界ではあるらしい。


「……じゃ、さっさと王を殺しに行こうかな……。地図を見るとまっすぐ行けば王の間に辿り着くんだけど……少し気分を落ち着かせたいよなぁ……。」


そう言いながら私は王族の子が殺された事からか、血相を変えて私のいる部屋の前まで来ていた。……先程の兵士とは違い、今度は魔法職が集まってきているらしい。まぁ、まとも相手をするのは面倒だけど、気を紛らわせる機会をくれてありがとうと感謝しながら私は彼等を迎え撃つのだった。

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