殺戮帝-6
軍人達を殲滅しながら進んでいく間に思ったのが、やけくそになりながらも突っ込んでくる者が多いことだ。この軍人達は死にたがりという訳では無く「将軍の仇!!」と叫びながら突っ込んでくる事が殆どで私は呆れてしまう。
「なんでテメェ等より強い将軍を殺した相手を鍛錬無しで殺しに行けるんだよ……。質より量で勝てるタイプならまだしも、私はそれに系統されないからな。」
本来の私は一騎当千型であり余程の事が無ければ敵に包囲されても簡単に殲滅できる魔法がいくつもある。見ていればそれくらい分かるだろう。それに真面目に復讐するつもりならここは退却してから鍛錬を積んでからが普通だと思える。……主人公補正なら確かに私を殺せるけどそんな偶然は起きないしね……。
「……しかしこれ使うとかえって不気味になるな……。潔癖の神『ナルタイル』が使用していたという太刀、『ユンリンマル』の効果は……。」
先程のサイスから武器を替えたのは『洗浄石』を何度に渡って使うのが面倒くさいからだ。門に入る前も極力家に血が付かない事を計算していたのだが、気遣いするのが面倒になったのだ。
「だからと言って穢れを祓う効果で血が一切出てこなくなる『ユンリンマル』を使うのは邪道だったな……。臓器とかが乾いている異様な光景は見たくなかったよ……。」
血が出なくなった事から周りを気にせずテキトーに軍人達を切り裂いて行ったのだが、時折死体から乾いた臓器が道端に転がるのがなんとも嫌な光景だった。ベチャベチャな臓器も確かに不気味に感じるが、カラカラに乾いた臓器がコロコロと転がるのを見るのもまた嫌な気分になる。
「まぁ、不快に思えるだけマシかな。『殺戮帝』やら『王魂の林檎』のせいで感覚がおかしくなっていたし。」
そう言いながら進んでいくと、城に辿り着いていた。ただ、城の門の前には不気味なローブを羽織った魔道士しかいない。魔道士は何やら呪文を唱えているが『鑑定』した所アレは血に反応して大爆発し、爆発の衝撃は全て血を流させた張本人に向かっていくタイプだ。
「……もうこれ使わないし投げて消滅させるか。血も流れる訳じゃ無いし。でも『ナルタイル』はこんな使い方を想定していなかっただろうけど。潔癖だから故に『ユンリンマル』を手放す事はしなかったと言われているからな…。」
だが、面倒なのでサクッと魔道士に『ユンリンマル』を投げつける。……まぁ、投擲防止の魔方陣も同時に起動していたのだろうが生憎『ユンリンマル』もとい『殺戮魔法』はいかなる防御も貫通していくため、あっさりと魔道士は心臓を貫かれて死亡したのだった。




