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殺戮帝-2

あの竜巻の中にいる者達は今、どんな気持ちなのだろうか。少なくとも大平原を覆い尽くす程の竜巻に巻きこまれ、踏ん張ることもできず肉が削ぎ落とされていくのだ。ついでに言うと骨も砕けるので完全に跡形もなくなってしまうと表現できてしまうし。


「……なんか、物凄く退屈だな……。」


実際、竜巻を抜け出せた物はいない……どころか竜巻で巻き上げられなかった者すら存在していないのだ。大体は鎧があるから風で巻き上げられる事も無いと考えていたのだろう……いや、そもそも集団リンチで勝てるとも考えていたのだと思える。


「……いや、もうこれ以上竜巻を維持する必要も無いかな……。さっさと解除してしまおう。」


私はそう呟いてから『オラージュ』を解除する。すると巻き上げられていた軍人の血肉がゲリラ豪雨の様な勢いで地面に打ち付けられていく。その血肉で大平原の9割は血の海となった。……戦を終わらせた後に『洗浄石』を使わないといけないと考えながら私は大平原を歩き始めた。


大平原は血の海が出来ており、私は『殺戮帝』で少し浮いた状態で進むことにした。そうしなければ血が靴等について非常に不快になる。それに加え、わざわざ徒歩でゆっくりと歩くよりはスーッと浮いて進む方が速いしね……。


たまに傷だらけの洋式鉄兜が転がっていたり何やら加護の付いた剣の柄だけ残っていたり……とこれだけならばまだ良いのだが考えても見て欲しい。剣の柄にはかろうじて残った軍人のゴツい指だけが原型をとどめたまま残っており、指から下がチリチリとした皮膚が残っているという物。はたまた、兜の中で首から下が抉れてなくなった事で絶望しながら白目を剥いている物…と、血の海以外で残っている物はグロテスクな物が多かった。


「……まぁ、何回か見た事はあるんだからそろそろ慣れないとな……。しかし、ガンダレスと闘った経験から私の感覚がおかしくなってるのはどうにかしないとな……。このままだと手加減してても軽く人を殺してしまいそうだし。」


本来ならば『殺戮帝』で強くなった為この様な大量虐殺が可能だった訳だが、随分あっさりと終わってしまったと残念に思ってしまう自分がいる。だが、これは正直言ってかなり危うい価値観になってきている証拠だ。


「……まぁ、今更リセットする事は難しいだろうけどなぁ…。」


そう言いながら私は血の海の中で転がっている物に哀れむような視線を送りながら市街地へと進んでいくのだった。ただ、今度は街を壊さぬ様に動かなければならないのでこの様な血の海は出来ないだろうけどね……。

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