宣戦布告-3
「……なんだ?訓練の邪魔をする気か?この卑しい農民め!!お前達はこの国の軍に服従していれば良いのだよ!」
「…いや、おかしいですよ隊長!!コイツ俺達に逆らってます!農民のクセに!!」
なんか、どこかで見たようなという程に彼等の言動は権力に頼り切りだと思えた。とりあえず『鑑定』してみると『軍刀術』が46というのが最高だがよくよく見ると『軍刀術』の横に(笑)の字がうっすらと見える。これが何を意味しているのかは分からないので放置しながら、軍人達を無視して納屋の火を消火した。
少なくともコイツ等は『炎魔法』どころか魔法自体も持っていない者達だった事、火打ち石なども持ってこず松明を持って火が消えるまでに向かうという訓練だった事から再び火が付けられる事は無かった。しかし納屋の中身は殆ど炭になっており道具は使い物にならなくなっていた。
荒らされた馬鈴薯畑の方は既に取り返しが付かないことになっていた。というのも馬鈴薯を潰しただけで無く、作物が育ちにくくなるように薬を土に染みこませていた。まぁ、何度か別の作物を栽培して土を肥やせばどうにか使える様になるタイプだった為どうにかなるだろう。
「……お前等はいつもこんな風に民をいじめているのか?」
「何だ?貴様も知っているだろう?これが日常よ。」
「あぁ、お前等に聞く質問が間違ってたな……。お前等を殺せば軍への宣戦布告となるのか……だったな。」
「そんなバカな事、農民の貴様に出来る筈がないだろう?だが俺様でなくとも殺せばそれは宣戦布告となり、お前を殺す事になる。だが良いのか?貴様には性玩具になる方がお似合いだと思うが……。」
あまりにも不快な言葉だった事、そして必要な情報が手に入った事から、彼の首を子供の玩具の様にグルルルと回した。力加減を間違えなかった事から彼の首は棒の様に細長くなっていたが血は噴き出していない。しかし、人間の首とはねじ回すとここまで長くなるのかと感心してしまう。
「た、隊長が、こ、殺され、た…?嘘だ、そんなの……ありえない…。に、逃げろー!!急いで師団長へ報告するんだー!!」
隊長の死を間近で見せられた者達は一斉に逃げ出した。しかし、これでは面倒な事が起こりそうな為、私は『時空帝』の能力を使い彼等の時を止めた。……『王魂の林檎』を食べたからか効果範囲広がってるんだよなぁ……と思いながら軍人達の首を軽く回して折っていく。ただ、最初に逃げ出した男だけは脚だけをねじ回した。……伝言板は確保した方が良いからというお情けで助かった軍人に私はある言葉を囁くのだった。