番外編 平行世界の交流会-6
ここの進化したゴーカートではホログラムで作られたアイテムに触れると、取り付けられたボール状の回転マシンが作動して横に強く回転したり、バク転する要領で後転させられたりしていた。まぁ、オマージュの元となった作品の様にカートごと回すのは安全を考えれば難しかったのだろうと思う。
「……とりあえず3位だから悔しくなかったな……。」
「そうだろうな。まさか最後の周でお爺さんが飛び出してくるとは思いもしなかったからな。あぁ、普通に最下位を走っていると思っていたら、急に『レインボースター』使って急加速して行ったからな……。」
あの思い出したくないというか、先程の乗ったバイキングよりも酔いやすそうな感じだった。まぁ、2周目から急にアイテムの出る頻度が高くなり、3位~最下位までの順位争いが激化していた。その為結構な頻度で回ったことから宮永が憔悴しきっていた。それでも最下位では無かったらしいが……。
「黒華鉄さんが羨ましいですよ……。だって殆どのアイテムが『ムテキノコ』だったんでしょう?それ私の方が欲しかったですよ!!私なんか毎回毎回『ダッシュエンジン』しか貰えませんでしたからね……。」
「まぁ、比較的被弾は少なかったけど……それでも何回かは回ってるぞ?それに『ムテキノコ』は万能では無いしな……。1位の時にお邪魔してくる『裁きの矢』は無効化できずに凄い勢いで回されるらしいからな。最も『ダッシュエンジン』であっさりと避けられるけど。」
そう言いながら私は宮永を介抱する。流石にこの状態の宮永をここに置いておくとどうなるか分からないからな……。なんせクラリスに手を出そうかというか、ナンパしてきたモヒカンがいるのだから。ちなみにモヒカンは織村の登場後離れました。まぁ、その後織村にもアプローチ掛けるモヒカンも中々だとは思うけどね……。
「そういえば次はどこに向かうつもりなんですか?」
「さっきのレースで結構時間が掛かったから、そろそろ昼なんだよね……。だから昼を食べに行こうと思うんだけど……。ここではどんな店があったかな……。」
「屋台で何か買うという感じでは無いんですね。」
「まぁ、ゴーカートで2位になった記念に2割引のクーポン券を貰えたんだ。どうせこの後来る予定も無いからさっさと使ってしまおうと思っただけだ。」
ただ、ここで面倒な事が起こる。……簡単に言うと不良というかチンピラ……という感じの奴に絡まれました。まぁ、最初は無視したんだが宮永を渡せという感じの略奪好きな感じの奴だと認識すると、私はいっそ宮永を吐かせて追い払おうかとも考えてしまうのだった。