番外編 平行世界の交流会-2
遊園地の開園10分前に私は入り口で待っている生徒会メンバー達と合流した。……途中寄りたい店があるという理由からタクシーを使わずに徒歩で来た為、他のメンバーよりも遅くに到着したのだった。
「……なんというか、黒木はプライベートでもメイド服のままだと思ったんだが、流石にそういう訳では無かったんだな……」
「流石に遊園地で男がメイド服だと色々と面倒な事になりそうだったからな……。まぁ、久々に男の服が着れて気が楽になる。まぁ、業務内容は変わらないがな……。しかし、黒華鉄以外は大体予想通りの服で着てるな……。」
そう言いながら黒木は私の着ている服を観察していた。……いや、ジャージ以外にあまり服を持っていなかったんだからこの服になっても仕方ないと思える。……というのも、私の着ているのは下はGパン、上は深緑の作業着だったからだ。
「宝石加工とかを趣味の1つでやる時に使う服だが、他にまともな奴がジャージしか無かったんだよ。ジャージ禁止にしたのは織村だから文句は言わないでくれよ。」
「分かってる。……しかしここに来るのなんていつぶりだ?」
「一夜と最後に行ったのは小学校の遠足の時以来かな~。」
「そういえばそんな事もあったな。」
黒木が蔵鮫と話している間、私は少し離れた場所に行き、クラリスの声を真似て「フェーリア、こちらにいらっしゃい。」と呟いた。するとクラリスの専属執事であるフェーリア、ついでに専属メイドのペトラが慌てて飛び出してきた。
「……あれ?クラリス様では無く黒華鉄様……ですか?」
「そうだが……フェーリアは2回目なんだし騙されないようにしてくれないか?正直まだ通じるとは思っていなかったんだが。」
「……え~っと、つまりこの方がクラリス様の声を真似て、私達は騙された……という事ですか?」
「そうなるな。まぁ、他に護衛が何人かいる中、護衛としては低い部類のお前達がなぜここに来ているのかを知りたかったからな。特にフェーリアは黒木に視線を向けていた訳だし。ついでに言えば2人とも私服だからな。」
実際2人は色違いではあるが型が同じレースのワンピースを着ていた。まぁ、身長に差がある為兄弟姉妹でのペアルックみたいな感じだな……とも思える。
「べ、べべべ別に黒木が久々に私服を着ると聞いてコッソリと来てた訳じゃないですからね!!」
フェーリアの慌てる姿を見て、私はこの状況を大体理解した。まぁ、私は何故この2人が来ているのかを知るために行動しただけなので、これ以上は関わらないでおこうとその場を去るのだった。