料理教室とコーディネート-5
とりあえず普段着を軍服にしてから私はジルフェの元へと戻る。するとジルフェは「ドレス姿の時とあまり変わらない気がする」とコメントしてきた。まぁ、軍服とはいえ少女漫画だからか下はスカートだしなぁ……。
一応スパッツ履いているので猫パンツが目立つことは無いが猫又の様な2つの尻尾に猫耳というのはキャラ作りしすぎな感じもするだろう。それにこの服は料理を教える立場の者が着るには変な感じもするしなぁ……。
「……とりあえず料理教室の続きをやっていくかな……。まだ肉や米、野菜も多く残っているし。」
「学ぶ事は多いですからね。これで作れる料理の数がかなり多くなってきましたよ。『マクベス』所属時代にも料理上手な人、茶を煎れるのが上手い人がいましたけど、別世界の料理は知らないですからね……。」
実際シーザーサラダなども知らなかったらしい。まぁ、あのサラダの名前は発明者の名前から来ている為こちらの世界には同じ物があったとしても全く別の名前になっているだろうと思う。
「ただ、調理器具やらは完全に恵まれていたと言わざるを得ないかな……。デカいオーブンがいくつもあるという家庭では無いけど、一般家庭にある調理器具がこちらでは開発されてないという事もあったし。」
「あぁ、圧縮鍋の事ですか。」
「ちょっと値は張るけど便利なアイテムだったんだけどね……。こちらの世界には存在していないと書かれていたのが驚きだったよ。」
「……山の民はこんな物を使うこと無く物を食べられる体を持っているからな。それに魔法もあるのだから必須アイテムとは呼べないようになっているのだろうからな……。ただ、短時間で角煮が作れるのはありがたいな。」
まぁ、私が着替える前にちゃちゃっと用意した『イートレスト・エルズ』の角煮は圧縮鍋の恩恵もあり完成していた。心残りなのは大根などの野菜も一緒にやれなかった事だ。それに鯨肉で角煮を作る事は普通の家庭ではまずやらない為、加減が分からないのもあるしね……。
「……まぁ、毒味という事で最初は私が食べよう。私達の世界では鯨肉が希少になりつつあるからな……。魚屋とかで気軽に売られる物じゃ無いんだ。」
ただ、今使っているのはシロナガスクジラレベルの大きさを持つ鯨から取った物で無駄に量がある為遠慮無く使えているのだ。いや、この鯨肉も元を辿れば貰い物なので私もそこまで強くは言えないのだけどね……と思いながら角煮を一口食べる。
「……あ、やっぱり米が欲しくなるな……。」
角煮を一口食べた後、私は米を炊く準備を始めた。……いや、角煮等の旨味がある物は米と一緒に食べたくなるじゃないか、私の行動はこれで正しいのだと言い聞かせながら米を炊く作業に取りかかるのだった。