料理教室とコーディネート-4
私が着ている服の原作である『小春戦記』という作品は名も無き藩の城である『小春城』に転生した軍隊が限られた資源を上手く活用しながら戦国武将達に立ち向かっていくという物だ。
ただ、この漫画は何故か最初に小中学生向けの少女漫画雑誌に掲載されるという伝説を残したらしい。……その世代では無い私にはさっぱり分からないけれどね……。ただ、転生した軍隊が全員女性である事や、僅か50人程しか転生していないにも関わらず初陣の毛利元就戦で15人くらいまでに減ってしまうという超展開に一部の女性は釘付けになったらしい。
「まぁ、『小春戦記』は購読紙を1つ上の世代に昇らせる為の作品だった様に感じますね。1巻分の連載が終わると描写らに過激になるからとおう事で移転するという感じになったんですよ。それに、全国の書店で移転先の雑誌と『小春戦記』1巻がセットになって売られているというのも注目されそうだったのですが……。」
「ですが……なんだ?」
「4巻が発売されたと同時に作者が交通事故で亡くなってしまったんです。そのせいで中途半端な終わり方をした事、作者も急死するとは思っていなかったからか続きのプロットを遺していなかった事から連載終了してしまったんです。」
その時は長宗我部元親、島津義弘を下して武田信玄戦となる筈だったらしい。しかし作者の思い描くような作風のまま描き続ける事の出来る者は誰もおらず打ち切りとなってしまったらしい。ただ、私が知らないだけでファンサイトなどで続きを書いてみた等は存在するだろうとは思うけどね……。
「まぁ、この軍服には魔力の補助などの機能はついていないな。ただ、頑丈なのに柔らかいような素材に程良い通気性等があるのは流石だなと言いたいな。」
「それが戦術の1つにも入っていましたからね。ただ、その軍服に猫耳と尻尾が加わるとさらに可愛いとは思いませんでしたよ。」
やはりアルミナは一言余計な事を言うな……と思いつつも私はとあるガチャの画面を開く。そこには『漫画全巻一気読みガチャ』と記されている。ジャンルも選べるので今度これで探してみようと思うのだった。
もっとも、『作者の望む完結版』や『ギリギリ単行本になる打ち切り版』等、幅が広すぎる仕様になっている事や、私達が死んだ時代からかなり経っているので見たことも無い漫画も多くなっているという事を考えると当てるのは至難の技なのだけどね……。
「あ、そのガチャは漫画のアイテムを当てられるようになるガチャもありますからやってみると良いですよ。運が悪いと草や石ころなどの誰得な物になりますけど。」
……まぁ、漫画の物が何でも手に入るならこのガチャだけで事足りる様になってしまうしな……と思いながら私はスマホの電源を切るのだった。