料理教室とコーディネート-1
竜田揚げを食べ終わった後、私はジルフェに料理を教えて欲しいと懇願された。なんでもガンダレスに色々な物を食べて貰いたいからだという。まぁ、恋する乙女を応援するのも悪くないと感じた私はジルフェに料理を教える事になったのだった。
「……で、この様になったらひっくり返す。すると『鯨肉ハンバーグ』のできあがり……。」
「成る程、そうやって団長の気を引こうとするのですね。まぁ、私に伝授するならば問題は無いですが……。ただ、料理のレパートリーが増やせるのは嬉しいですね。ハンバーグという物は食べた事はありますが作り方までは熟知していませんでしたから。」
ジルフェの料理の実力は高いのだけど、レパートリーが少ないという事が分かったので急遽料理教室をする事になったのだ。ただ、ハンバーグの作り方すら知らないという感じで前の世界の知識がどこまで通用するのかの感じてしまうのだった。まぁ、飲み込みが早いのでかなりやりやすいけどね……。
「でもミンチにする所は簡単ですね。これだけでも知っておけば料理の幅が広がりますし……。」
「実際そうだよなぁと思うよ。ミンチにするという事が無ければハンバーグやメンチカツなんかの料理が産まれていないわけだし。」
そう言いながら私はジルフェがハンバーグを作るのを見守った。ちなみに料理教室の中で作った物はアルミナとガンダレスに試食して貰っている。ただ、満腹になればそこで終了となる為に何日かは供にいなければならないのか……と感じてしまう。
「……美味くできているな。」
「ホントですか!!良かった………。」
ジルフェが上手く焼き上げたハンバーグをガンダレスに渡すと、ガンダレスは素直に美味しいと発言していた。ただ、私の作った物をアルミナに食べさせた時、アルミナがこう言ってくるのだった。
「……剣城ちゃんはいつまでそのドレスのままでいるんですか?」
それは料理教室中には言ってはいけない言葉だった。いや、ジルフェは自作のエプロンをしているので何も言われないが、私はガンダレスとの戦闘時から変わらず『獄炎帝』の姿のままなのだ。
「その辺りは気にしたら負けだと思うけどな……。」
「いやいやいや、気にしますよ!!確かに今のドレス姿も可愛いですけど、普通のエプロン姿も気になりますよ!!」
最終的には私以外の全員からの痛い視線に耐えきれなくなり、『獄炎帝』を解除する。すると胸の大きさだけは変わらずに元の制服姿に戻る。胸の部分がはち切れそうで、腕と脚がダボダボになった状態でだ。……とりあえず、変わりの服が無いかを探さないとな……と思う私なのだった。