敗北の証-5
「…体が変化したからという事で味覚が変わる……なんて事が無くて良かったよなぁ……まぁ、アルミナとラピ、アルも耐性着いて来てるから普通に食べられるようになるだろうからこれも食料として使いやすくなるなぁ……。」
私はそう言いながら竜田揚げの味を確認していた。流石にあの2人に味のおかしい物を出すわけにはいかないと思いながら完成品を渡す。ただ、ガンダレスに渡す際に背伸びをしなければ微妙に届かないというのに不便を感じてしまう。
「せめてあの身長と胸のままだったらこれからも楽に過ごせたんだけどな……。今の体だと無駄に肩凝りそうだし届かない範囲がかなり広がるんだよ……。」
「その胸が無駄な乳である事は明白ですしね。なのでさっさと切り取ってください。」
「……ジルフェ、残念だが『王魂の林檎』で創られた体は切り取れない。まぁ、俺は胸の大きさだけを魅力として見る人間では無いからその価値観が分からないが……。」
まぁ、まず男性と女性で価値観が違うからなぁ……胸の大きさだけを魅力とする人間がいるのもまた事実だけど。しかし、爆乳になると絶壁の時よりも下が見えにくくなる為に不便な事を考えると腹が立つ為、ジルフェの乳に関する嫌みにもイライラしてしまうのだった。
「しかし素材を上手く使えてますよね……。『イートレスト・エルズ』の様な高位モンスターの食材は普通に使えばクセが強くなりすぎてしまいますからね……。」
「…まぁ、なんでもかんでも黒焦げにするよりは遙かにマシだがな。ジルフェはちゃんと作ってくれるからな……。」
「あぁ、ヒルージュさんの料理ですか。あの料理はなんでもかんでも炭の味になりますからね……。幸い私達に強要することは無かったですけど。」
ヒルージュというのは貴族らしく上品なのだが、快楽の為ならば死んでも構わないという程のドMな女性らしい。彼女は自分で料理を作るときは炭になるまで食品に火を通すという事が多いらしい。しかし形はそのままである為炭で出来た料理をフォークやナイフで優雅に食べるという事が多いらしい。
「…できればそんな変な調理法の人とは比べて貰いたくないけどな……。まぁ、私もそこまで上手く作れていないわけだけど。」
「嘘ですよね?手順は単純でしたけど百戦錬磨という感じの手つきでしたよ?それのどこが「上手く作れていない…」ですか!!」
「いや、私を越える人は優にいるんだよ。私の探している母さんもそうだしな。」
私がそう言うとジルフェは納得しない表情のまま竜田揚げを口の中にいれるのだった。まぁ、この肉には何の下味も付けていないからな……。そう思いながら私はジルフェの実力に関して聞き出そうとするのだった。