王魂の林檎と王の器-5
私が取り出したのは完全にアイテムBOXの肥やしと化していた『ネクロノミコン+150』だった。これまでは使う機会が無かったというか、使うと暴走しそうで危ないと思い手をつけていなかった物だ。ただ、今の状況ならば使うべきだろうと思えた。
まぁ、『獄炎帝』使うまでこれを手に入れていた事をすっかり忘れていたのだ。なので『アイアンメイデン・マトリョーシカ』の時点で使っていればと思えてしまう。まぁ、どちらにしろガンダレスを殺すことは不可能だったのだけど。
「………いや、なんでまた胸がデカくなるのかなぁ……。私は絶壁高身長のままで良かったのに、なんでFからGにいくんだよ!!ロリ巨乳なんて目茶苦茶戦闘や生活しにくいだろ!!」
『ネクロノミコン+150』を持った時、短くなった腕とこれまで無かった胸の感触がかなり不便に感じた。『獄炎帝』を発動した事で服が赤を基調にしたドレスになりサイズが自動調整されていたが、王魂の林檎を食べて再生した後、男子の制服を着ていた際には胸がとてもキツかったからなぁ……。
「……まさか、彼には王では無く王女の器があったのか……?」
「いや、本気で私が性転換したと思ってるよ。まぁ、ジルフェって人も私の事は無視していたしねぇ……。」
「……まぁ、人形にすればかなり良い戦力になりそうだしな……。問題は無い。さっさと殺すか……。」
いや、殺す事に変わりは無いのか……と思いながらもどれだけ男装するのに身長と絶壁が役に立っていたのかを認識できた。正直今の状況で思うことでは無いのだが、『獄炎魔法』等でこの必要ない胸を燃焼できないかと思いつつ、私は『ネクロノミコン+150』を構える。
すると、『ネクロノミコン+150』が炎に包まれた後、紅と金で構成された扇へと変化する。それを見て私はすぐに『鑑定』をする。まぁ、『獄炎帝』がアイテムに影響を及ぼす効果も持っているのだろうと思える。ただ、分厚い本がいきなり扇に変わるというのは異様な光景だなと感じてしまうのだった。
『魔導扇プロミネンス』
・価値 80京G
・『ネクロノミコン+150』が『獄炎帝』の魔力を経て変化した姿。覚醒した魔導書は本の形では無いものとなるが、名前が変わっているのは完全に『獄炎帝』専用の魔導書となったからである。ネクロノミコンとしての魔力は健在で有るが、『獄炎魔法』の強化が著しく高くなっている。
……相変わらずガチャで手に入る物はぶっ飛んでたという事も改めて認識できた。まぁ、ここまでやってもガンダレスに勝てる気はしない。まぁ、話を聞いて貰えるくらいの時間は稼げるだろうと思いながら、臨戦態勢を取るのだった。