英雄の地 アルバストア-3
ランタン達と合流した後、私達は情報を再度見直した後に次の行き先を決めるのだった。ただ、面倒な事が起こらないようにする対策も考えなければいけないけどね……。
「………で、次に向かうのは『トゥルテント』って街に決定しようと思う。ここは大豆の宝庫と呼ばれている程大豆が作られているらしい。品種も結構揃っているらしいしから色々と食べられる物の幅が広がりそうだしな。」
「でも結構遠そうですよね。この街では加工品どころか枝豆なども見つかりませんでしたし。ただ、トゥルテントはアルバストアの住民からは悪く言われている事が多いらしいですね。」
「……そりゃあアルバストアにとってトゥルテントは貿易をするには及ばない国と認識していますからね……。下町でもその性で取り扱えないらしいですけど。」
まぁ、ガゴーゼンが大豆を嫌ったのだろうと思いながら私達はここを出るためのルートを確認する。欲しい情報は全て手に入った様な物であるためか、ここを出る事をあっさりと言えてしまうのだった。ただ、1つだけ気になる書籍があるのでどうしようかと思っていると、とある店に目が行った。
「まぁ、お目当ての本があるか分からないが、今日はここを物色した後に馬車に戻ろうか。腐っても英雄の地なんだから掘り出し物があれば良いんだけどな……。」
「良い物があれば奇跡だと思いますよ?」
「でも、魔導書等があれば買っておくべきかもしれないと思いますよ?賢者様が修練を積むのにも使えそうですし。」
そう言いながら店の中に入ると、そこには猿轡され体も縛られている店主らしき爺さんと、いかにも賊っぽい男達が大量の本を運びだそうとしている所だった。とりあえず『鑑定』をしたところ実は爺さんが泥棒で賊らしき男達が店員という事は無かった為、サクッと賊を〆てから爺さんを解放するのだった。
「……すまんの。この街ではよく賊が現れるんじゃよ……。とはいえ魔導書等っぽいのは盗られても売られんし使えんから問題は無いんじゃが、こうも頻繁に来られると面倒でなぁ……。」
「まぁ、この街にはモンスターが来ないからと言って取り締まりがかなり緩くなっているからな……賊も入りやすいだろう事は分かりきっているな。」
店主の爺さんがそう話すのを聞きながら、私とアルミナは『鑑定』を使い魔導書等の掘り出し物が無いかをチェックしながら本を積んでいく。ただその中には図書館で気になっていた書籍もあった。これに関して店主に聞いてみると、先程の苦労話はどこに行ったのかと思える形で話し始めたのだった。




