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迷宮の町・ラビネア-1

町の入り口にある看板を見ると、そこには『迷宮の町・ラビネア』と書かれていた。……………………名前だけで見るのならば、初めて来た異世界の町としてのインパクトは凄かった。しかし、町の全体図はさほど複雑では無い。町の中心を囲むように店があり、その外側に民家があり、最後に大きな壁がある…………そんな構造だった。


「お、おい……………外から人が来たぞ!!あの森の中から辿り着けたのか…………良かったぜ…………。」

「で、でもよぉ…………『鑑定』で見えないスキルを持ってるぜ……………。町に入れるのは危ないだろ。………………どうする?」


どうやら、私のスキルの内のどれかが『鑑定』できないらしい。………………なんか危惧していた時の事とは違う感じで町の中に入れて貰えなさそう何ですが…………。


「……………いや、普通なら通しても良いんだがな……………。すまないが、身分証明書を見せてくれないか?そうしてくれれば俺達はすぐにでもあなたをこの町に入れることが出来る!!」

「……………………良いんですか、隊長。まぁ、身分証明書があれば安心できる可能性の方が高いからな………。」


そう言われましても…………と思ったが、よくよく考えれば『身分証明書(仮)』があったじゃないか!!と気がついた。……………というか、これ胸ポケットの中にずっと入れてたんだよな…………。戦闘とかしている間に投げ捨てたりだとか落としたりしなくてよかった………と思える。


その『身分証明書(仮)』を見せると、門番の二人は後で本物の身分証明書を作りなさいと言った後に町に入ることを許してくれたのだった。………それと、物を買い取ってくれるという場所の地図や、冒険者ギルドの場所などが詳しく書かれた地図も渡して貰えたのだった。


「…………………にしても、なんでここは迷宮の町と呼ばれているんだ?もしかして、大きなダンジョンでもあるんですかね?」


私がそう言うと、門番の二人は少々驚いた顔を見せたが、すぐに元に戻ってこう語り始めた。その内容は結構重かった。………………第二の人生いきなりハードモードという感じがピリピリしたよ。


「……………………この『ラビネア』という町は……………元々は国だった。今でこそ交流はしていないが、今最も力があり、勇者と呼べる存在を呼び出す事の出来る『エンブラド』と唯一対峙できる力もあった………………らしい。だが今は、『魔強木マゴウボク』という木で埋め尽くされた森が国の土地だったはずの場所を占領し、強い魔物がうろつくようになり、元々王家の城があった場所からは、合計で億を優に超える迷宮が出現したのだ……………。」


…………………門の前は強いモンスター、門の後ろには無限のダンジョン…………………なんか、とんでもない町に到着してしまったらしい。………………まぁ、とんでもないのは事実だが、だからこそ面白そうな町だと思いながら、門番の話の続きを聞くのだった。

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