宴の中の出会い-2
あれから十数分後、ネズミ耳の少女がトイレから戻ってきた。しかし、膝はガクガクと震え、下に履いているホットパンツはなぜかトイレに行くまでに突いていたイカ焼きのタレのシミが消えていた。…………………これは、間に合わなかったという風に推測できてしまう要素ばかりだなと感じられた。
しかし、たネズミ耳少女に同情する事はできない。私を陥れようとして利尿剤付きのイカ焼きを渡そうとしたのは彼女だし、周りの目に耐えきれず自分からそのイカ焼きを口にしたのは彼女なのだ。
「………………………やっぱり性悪でちゅーよ…………、この鬼!!悪魔!私のちゅーばらしい猫耳を返して欲しいでちゅー!!」
「いや、さっきから何の事かさっぱり分からないのだけど……」
「五月蠅いでちゅー!!このマッドサイエンティチュート!!このクチューリの解毒薬を早く私に飲ませるのでちゅーよ!!」
「良いから落ち着け!!大体、私とアンタは初対面だ。つーか、着ている服とかで気付け!!後声でも分かるだろうが!!」
私が怒号を浴びせた後、彼女は静かになった。しかし、ちゅーちゅーと所々「す」の音が「ちゅー」に変わっているので素でこのしゃべり方されたら確実にソイツの口を塞いでいる気がする。いや、手で押さえるのでは無く、物理で直接…………的に。
「…………………よ、よく見たら全くの別人でした………。でも、黒い猫耳や長い髪が余りにも似ているんでちゅー。だからあの利尿剤を使おうと思ったんでちゅー。」
「まぁ、今回は私が気付いたから良かったけど………………ここで漏らされたら色々と面倒な事になっていたかもね……………。」
多分、漏らしたところを見た人間を全員殺そうと『殺戮魔法』を使っていただろう。いや、そうしなくてもランタンが殺していきそうだが………………まぁ、私としてはそうならない為に『鑑定』を使って良かったと思うのだけどね………………。
「このクチューリを私に使ったのはメイミという女性でちゅー。あなたと同じ黒くて長い髪に猫耳が特徴だから探して欲しいでちゅー。早く猫耳と自分の名前を取り戻したいでちゅー。ちゅーをちゅーに変換される人生なんて嫌でちゅー。」
「深刻そうな話なのに『す』がちゅーになってるから緊張感が無いなぁ……………。まぁ、いつまでも誤解されて利尿剤に怯えるよりは増しだから探しといてあげるよ。」
私はそう言ってからメイミというマッドサイエンティストを探す事にしたのだった。ただ、アルミナは私とネズミ耳が言いあっている最中に別の屋台へラピと一緒にふらふら~っと言ってしまった為、メイミ探しには参加しない………………。まぁ、私達2人でもどうにか出来そうなので気にしないことにしてメイミを探すのだった。