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番外編  マシロと魔王-4

「私の記憶の中にいる少女はとても小さくて、髪がとても長い、可愛い娘でした。フリフリのドレス…………では無かったと思いますけど、可愛い服を着ると可愛さが倍増していくような感じの娘だったんです。」

「マシロがそこまで可愛いと言うならば本当に可愛い子なのじゃろうな。まぁ、親バカな雰囲気がするのだが…………」

「実際に親バカだと思いますよ?なんて言ったって私は彼女の母親だったのですから。」


マシロがそう言うとハシュの顔は固まった。前世の話なのは分かっているのだが、目の前にいるマシロは男だという事に変わりは無い。しかしマシロが母親である記憶が存在する事が信じられなかったのである。


「………………ただ、ある時を境に彼女は髪を切り取ったのです。それから可愛い服を着ることも無くなりました。ずっと男物の服を着るようになって…………………。」

「……………まさかとは思うが、男にドレスのような服を着せていたという感じで娘では無く本当は息子だったというオチでは無いだろうな?」


マシロならこの様な事をしていてもおかしくないという感情を露わにしながらハシュは言った。しかし、マシロはそれを否定し、彼女がちゃんと女である証明をしたのだった。まぁ、胸は相変わらず小さかったという事も付け加えていたのだが。


「…………………まぁ、髪を切ったのは事情があっての事で私の事を嫌いになった訳では無かったと思うんですよ。」

「それはマシロを見ていればなんとなく分かるのじゃ。マシロを嫌う様な母親はおらんじゃろ。まぁ、余程反抗的な娘で無ければなぁ。」

「私の場合は逆に私が甘えていたこともあったかもしれませんね。理由は分かりませんが、ある時期から私は病か何かで寝ている時の方が多くなっていましたから。」

「……………そうか。まぁ、話し方からしてまだそこまで年を取っていなかったのじゃろうと思うからの…………。それでも死んだという事は病じゃろうな。」


ハシュがそう言うと、マシロは急に悲しそうな顔になっていた。それはハシュにも言えない感情だった。簡単に言えば、彼女についての記憶を思い出す度に、顔や風景が曖昧になっていくのだ。本当ならば彼女以外の人間も傍にいたはずなのに。それにも関わらず思い出せるのは前世の娘1人なのだ。


ハシュもそれを感じ取ったのか、ただ疑問に思って気付いたのか………。マシロの悲しそうになる目を変える事は出来なかった。その為、彼女は話題を変えることにした。そうしなければマシロの悲しそうな目を見続ける事になると考えたからである。

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