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昔の記憶-1

またしても、私は夢を見ていた。最初は奇天烈な遊園地の中でボーッとしながら、ただ1人で歩いているという物だったが、サーカスのテントみたいな場所に入った途端、夢の内容が切り替わり、昔の記憶らしき映像が流れ出した。


「………………………………………あぁ、私が男装する前の記憶なのか……。まぁ、ここは夢の中だから気にしないで見るかな………」


私はそう言いながら過去の自分を見つめた。昔の私は母さんやセバス、当時のメイド長などと一緒にお茶をしていた。そこに糞親父の姿は見えない。その事について気にしているのはメイド長ではあるが、心配しているのでは無く少々憤慨しているのだ。


「……………………お茶をしているという事はあの糞親父も一応休みの日で、しかも茶には参加するような流れだったような………。いや、煎れる人間は一流だけど安めの茶葉と少ない費用で美味しく作れるお菓子ばっかりだったから金は掛かっていない………はずなのに糞親父はそれをやめろとか言ってたよな…………。今思えば、家族の縛りさえ無くなればあの糞女と会うことが楽になっていただろうからな……………。」


あの茶会は、母さんが子供の頃に当主だった祖父が作った習慣で、この茶会だけはどれだけ忙しくとも参加する、家族としての時間を取るという意気込みで作られた物だ。それを母さんも受け継いだ………………が、あの糞親父はそんな時間があればあの糞女に会う方が良かったのだろう……………………だが、それで良かったのかもしれない。


「茶会にあの糞親父が出て来ていたならば、私は騙されていただろうからな……………糞親父が普通の父親であると。あの家を乗っ取られる時に何も持ち出せなくなるという事態もあったかもしれないしな…………。」


ただ、夢の中での会話は上手く聞き取れない。これは私の記憶が曖昧だからなのだろう。だが、何か忘れている気がした。いつかの茶会で何かがあった。何があったかは思い出せない……。そえ思いながら夢の続きを見ると、茶会の中に子供が1人乱入してきていた。


「……………………………誰だ?あの子は………?いや、どこかで見覚えがあるような、無いような………………でも、この子供はどこから入ってきたんだ?龍乃宮の奴では無いだろう。あの話からすると織村の可能性もあるが、女物の服だからな…………?」


私がそう思っていると、侵入してきた子供はなにやら叫びながらナイフを取り出し、私に突き刺そうとする。だが子供の動きの為、セバスに呆気なく捕らえられた……………が、彼女の投げたナイフが丁度私の胸に刺さってしまっていた。



今思えばこれは、母さんの体が弱くなってしまった原因の1つである事件だと思うと、私は後悔と罪悪感で震えが泊まらなくなってしまった。あの時、警戒せずに彼女に近付きさえしなければ、私が死にかけることも、母さんが私を死なせまいと大量の輸血をするという事も無かったのだから。

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