ヘアスタイルはシンプルに-1
ベッドに寝転がって暫くした後、アルミナから風呂に入る様に勧められた為、私は風呂に入らせて貰う事にした。まぁ、体の臭いなどは『洗浄石』系のアイテムでどうにでもなるのだが、風呂に浸かる感触というのは風呂でしか味わえないからなぁ………。
「…………………………風呂も普通に完備されているのも良いところだなぁ………。今の所バスタブもガチャで当たらないし。まぁ、シャンプー等は『洗浄石』で代用するしかないんだけど。」
「そうねぇ。でも先輩を見つける為にはここから離れた方が効率が良いのよね………もっとも、見た目が変わりすぎているだろうから見つけにくいと思うけど。『鑑定』で私達と同じ前世があった人は見かけなかったけど、この世界での故郷に戻ってみるのもありかもね……。」
私達が同じ組でまとめて転生させられた事を考えると、アルミナ達幽霊組も転生した時は同じ場所だった可能性もある。………まぁ、クラリスの使用人達の事を考えると、所属している団体では無く隕石が落ちた時にいた場所が基準になると考えるのが自然なのだけど、幽霊組は所属の方で分けられた気がするんだよな……。
「………………故郷ってどの辺りにあるんだ?私達は一応海を目指していたんだけど……………。」
「そうですね……………。海岸を経由して行くルートもありますからそのルートで生きましょう。魚料理が食べたいですからね……。」
「ガチャでも中々出ませんからね……………魚だけは。まぁ、この世界の魚が前の世界と大差ない事を祈りますけどね………。」
異世界物の小説の中では未知の魚が大量に出てくるというパターンもある為、それを極力抑えて貰いたいよなぁ………と思いながら、体を洗っていたアルミナと入れ替わる様に湯船から出て髪に『洗浄石』を当てる。
………………髪切り用のハサミが手に入れられていない為、伸びっぱなしになった髪を普通のシャンプーで洗うのは少々面倒なので石を当てるだけなのは手間が無くて助かると思っていると、アルミナが「勿体ない………」と呟いていた。
「何が勿体ないんですか?」
「いや、剣城ちゃんは女性としても十分魅力を出せる、可愛いを出せると思うのですが、それを意識していない事が勿体なんですよ。」
「いや、可愛くなくても問題ないですよ。それに高校生に可愛いを求めないでください。普通高校生は可愛いじゃなくて綺麗を目指すでしょう。私は面倒なので最低限の清潔を守るだけなのですが。」
私がそう言うと、アルミナは「そういう所が勿体ないんですよ!!」と叫ぶのだ。……………いや、可愛さを今頃求めても、ただの痛い人になるだけなのでは?と思いながら風呂から上がるのだった。