賢者アルミナの初ガチャ-5
タゴンの扱いというか処遇が決まった後、私はさっさと出発してしまおうと考えていたがアルミナは自分の私物やらなんやらを持って行く為に一旦家の中に行くのだが、その時に私とランタンも手招きして家の中に入れるのだった。
「とりあえず今日はここに泊まって、明日出発する事にしましょう。アイテムBOXの壺に色々と入れていかないといけませんし………………。」
「……………まぁ、私の私物とか結構ありますからね………。食料に関しては置いていっても大丈夫でしょう。この辺りには森もありますし、タゴン程の実力なら十分狩れるでしょう?」
「そうなりますな。なので心配する事は無い。」
タゴンに家の留守を頼む事にはなっているが、アルミナもラピも女性なのだ。その為色々な準備は必要なのだろう。そう思いながら、壺がアイテムBOXになっている事に少し意外性を感じながら泊まることにしたのだった。
「………………………思えば、まともな場所で寝るのって『葉っぱの館』の時以来かな……………。基本的に馬車の中で寝泊まりしてたから。せめてベッドくらいはと思って入る宿は藁が詰まっただけのベッドだったし。」
「この家のベッドは藁じゃ無い時点で十分ですよ…………。」
「そ、そこまで普通のベッドがこの世界には無いんですか?私の育った町では形こそ異様ですが普通のベッドという物はありましたよ?私が改善してより普通のベッドに近づけましたが。」
まぁ、藁で編んだ袋の中に綿や何かを入れた様なマットレスや掛け布団などならば、箱に藁を敷き詰めただけのベッドよりも普通と言えるだろう。…………まぁ、私も最初は後者よりも酷い形で寝る時があった様な気もするけどね……………。
「大変でしたよ……………。運良く材料がありましたからそれで布やらを作って貰い、それに羽毛などを上手く取り入れてもらい……………なんとか今の状態となったのですよ。ただ、羽毛で無いと程良い重みが無かったんですよね…………。蕎麦殻は無い、ストローやアクアビーズなんて関連する物すら無いですからね………枕の方も苦労しましたよ。」
「魔王だった時は玉座がリクライニング?とかで傾いていたのでそれで寝ることが多かった私にはこの布団は衝撃でしたよ……………………。ここまで快適なのがあるとは知りませんでしたからね………趣味悪い玉座でしか寝ていなかった事もあり、この布団が素晴らしいと思いましたよ。」
ただアルミナは持って産まれた魔法の才とこの布団の関連で暫くの間『布団の賢者』と呼ばれるようになってしまったらしい。2ヶ月ほどでほぼ撲滅と言えるくらい減っているらしいのだが、未だに言う人は言うらしい。……なんとも微妙な2つ名だと思いながら私はベッドに寝転がるのだった。