賢者との対面-3
「……………………ただ、母さんを探す時に面倒になりそうなのは、容姿が完全に違う事の方が多そうな事と、記憶に錠がかけられている部分があって判別が出来ないかもしれない事、下手すると既に死んでしまっている可能性がある事かな………。」
「……………………まぁ、赤ん坊の時点から始まっているので容姿の変化や生死の行方が分からなくなる所まで来てますからね…………。」
容姿の違いについては織村から確認済みである。しかしここで問題となったのはアルミナが織村に関しての記憶が、織村とのチャットで蘇り、そこから色々な事が思い出された事である。
「ただ、記憶のトリガーになるのが身内との遭遇で無かったら本当に面倒な事になるよなぁ……………。『鑑定』で判別できても記憶が無ければ警戒される事は間違いないし。」
「でも、黒華鉄さんの事を思い出す事は出来ると思います。……………………しかし、この世界は広いですし、今回私と出会えたのも偶然ですから、探す範囲は広いですよ……なんて言ったって25年も経っている訳ですから色々な場所に移動している事は間違いないですから。」
まぁ、赤ん坊を探すという事をしなくて良い分まだマシだ。しかし自称神も面倒な事をすると感じてしまう。魂だけの人間を転生させる事が簡単だからといって私達みたいにクラス毎に1カ所にまとめるという事をせず、バラバラに、しかも広範囲に送り込んだのだ。
「とりあえずガチャで某青狸の人を探すステッキの様な物が出ないか試してみるか……………。闇雲に探すよりも堅実になるだろうし。」
「あの~、よろしければ私がそれらしい物を作ってみましょうか?これでも一応賢者と呼ばれているので………………でも、私はガチャという能力は持っていなかったですね。生前はスマホを持っていましたし、ガチャのあるゲームもやっていたのですが………………。」
賢者と呼ばれていたアルミナが作れると言うなら恐らく作れるのだろう。しかし、ガチャという能力がスマホゲームをやっていたにも関わらず存在しないという事には驚いてしまう。しかし、仮説が浮かび上がった為、私はそれで納得しておくのだった。
「幽霊から転生した人間にはスマホの中にゲームがあってもガチャという能力が無いのか……………。その変わりにここに赤ん坊の頃から過ごすことが出来る………と。まぁ、デメリットは少なそうだけど逆にメリットも大した事無いからガチャを持っている方がマシなのか……………。」
まぁ、身分やらが安定しそうな事を考えると幽霊から転生した者達の方が、この世界で生きやすいのかもしれないと思いながら、私はガチャの画面を開くのだった。