捕縛された転生者-4
馬車の奥の方へ行くとランタンがかなり落ち込んでいた。まぁ、ランタンは仮面をつけて強化する前にラピに倒されてしまった事を責めているのだろう。
「マスター、なんで私ごと居合い斬りを使って彼女に攻撃しなかったんですかそうすれば少しは勝機が見えたはずですそれに私の事を捨て駒にして逃げるという選択肢もあったのになぜ逃げずに捕まったんですか。」
「………………ランタンを見捨てられる訳が無い。ただそれだけだよ。それに、ランタンごと居合い斬りする方法はラピには得策じゃない。下手するとランタンだけを斬り捨てたという事もありえるからね……………。そんな別れ方を私はしたくない。」
ランタンにそう言うと、ランタンは私に抱きついてきた。それを受け止めた私はそのまま彼女の頭を撫でながら安心させるのだった。…………………この事を引きずって自殺なんてされた方が心のダメージが大きくなるしね…………。
「ただ、今回の戦闘で本当に強い奴に勝てる実力は付いてないことが分かったから良いか…………。運良く生き残ったわけだし。ステータスだけなら格上のモンスターと闘った事もあるにはあったけど、『殺戮魔法』を凌ぐ奴はいなかった訳だし。」
「確かにマスターの『殺戮魔法』は強力ですがあれは一撃必殺を目的として作られた様な魔法が多いですから威力が高いだけで本人の魔力量が少量でもかなりの威力になっていただけでステータスも技量も強い人なら打ち崩す事も可能という訳ですよね。」
まぁ、やってのける奴がいるとは思わなかったけれどね………と思いながら私は手綱を操るラピを見る。もし背後から『殺戮魔法』を使ったとしても、彼女は軽く耐えきるだろう。というか発動する前に止められるのがオチだろうが。
「まぁ、死なないで良かったと思うことにしよう。」
「ですよね……………。まぁ、『奇跡の雫』があるからギリギリ逃げる事なら出来ますけどその分復活した1回で逃げ切れなければ死にますからねでもマスターなら逃げ切れると思います私が目一杯時間を稼ぎますからでもマスターが一緒に闘ってくれるなら嬉しいですけどその時はどうか死なないでくださいね。」
ランタンにそう言われた私はそれに頷いた。まぁ、実際に死のうとは思っていないのは事実なのだ。ただ、今回逃げなかったのはやはり『殺戮魔法』を過信しすぎていた事から起きたのだ。なので私はラピのいう賢者の所について自由になれたら『殺戮魔法』等の技能を上げようと考えるのだった。