捕縛された転生者-2
「あれ?言ってませんでしたっけ、私の名前。」
「言ってないだろ。後、ゾンビの時に言っていたなら聞こえてないからな。ゲボガボと聞こえる不快な音しか出てないからな。このままはぐらかすなら今後お前の事をゲボガボと呼ぶからな。」
「それだけはやめてくださいよ…………。私にはラピという名前があるんですから…………。という訳で今後私の事はラピと呼んでくださいね。」
「……………………………ならラピ、体を起こしてくれないか?もしくはこの手錠を外すか。どのみちお前に『殺戮魔法』は効かないから何の問題も無いだろ?」
尻餅をついたままの私がそう言うと、ラピは私の両手を持って達上がらせた。正直言って手の方に負担がかかるのでこのやり方はやめて欲しかったが仕方ないと思おう。今の私は捕虜なので待遇を良くしろと訴え続ける事が良い事だとは思わないしね。
「だがしかし、ラピほどの実力者を手駒として操れる奴ってどれだけ強いんだよ。つーか、男か女かどっちだ?」
「女ですよ~。あれ、もしかして残念がってます?一応剣城ちゃんも女の子だし。」
「いや、私は男漁りとかする様な性格では無いと分かるだろ……。ゲームでは集めまくっていたがあくまでゲームの進行の為だ。」
「強がっちゃって~。まぁ、賢者様に会えば結構驚くと思いますよ~。なんせこの私に勝ったのですから。」
それを聞いて確かに驚いた。ラピを倒す事は不可能だと考えるのが一般的だ。ゲームならばいくらでも倒せるかもしれないが、魔法では死なない体を持ち、全方向から来る凶器達を1本1本性格に破壊する程の剣技を持っている彼女を現実世界で倒す事はほぼ不可能だろう。
「まぁ、魔法では死なないなら剣技で殺せば良いという理論が出て全員それで掛かってくるので魔法を無効化するのは本当に楽しいんですよ!!」
「そんな熱く語らなくても良いから。ただ、ゾンビ化していた理由は知りたいけどさぁ…………。あの顔じゃなければ私達も臨戦態勢にならないで良かったはずなのに。」
するとラピはフフフと顔を手で覆い隠すようなポーズを取る。某有名な漫画のドォンとオノマトペが着きそうなポーズのまま、ラピは意気揚々と喋り始めた。正直ゾンビ顔の説明とはまったく関係の無い様な事なのだが、一応聞いておくことにする。
「私の正体は、腐醜の魔王ラピエラーク!!今は身軽な賢者の弟子ですがね!!それと、魔王とか言いますが私以外のゾンビは朝日に当たり灰になりましたけどね…………。」
「いや、ちゃんと屋内に入れておこうよ。配下のゾンビくらいさぁ………………。」
しかし、元魔王だったのならば彼女がここまで強いのにも納得できると感じるのだった。まぁ、多少ドジなのか間抜けなのかという所はあるみたいなのだけど。