捕縛された転生者-1
今回から剣城視点です。
あのうざったらしい教頭を筆頭とした魔王討伐派の教師を虐殺し、魚を求めて海を目指してから早くも2ヶ月が経過していた。毎日ガチャは引いているが、ランタン以外のキャラは出て来なかった為、現在も2人で旅している………………はずだったのだが、今の私とランタンの両手には手錠があった。
「とりあえず魔法は封じさせて貰ったから反撃しようとは思わないでね。まぁ、『殺戮魔法』はもっと検証してみたいから、賢者様に見せた後、私とも付き合ってね~。」
「………………検証も何も……………私がやれる事は全てやったじゃないか……………それ全部無効化にしてこの手錠までかけてきたのは誰だよ……………。」
「それもそうでしたね……………。でも、あれだけ無効にして楽しい魔法はありませんよ~。なので、バシバシ使ってください!!後、この馬車も良いですねぇ~。どこで買ったのか教えて欲しいくらいです。」
………………………………私とランタンは現在、金髪ポニーテールの女に連行されている。まぁ、現在海と反対方向に向かわされている事から彼女に捕まる気は無かった事は言える。早く魚介類を補充したいと思っていたのに、なぜこうなったのか…………簡潔に説明してしまおう。
まず、彼女と遭遇したのは………私が面白そうな魔力を持っているとゾンビの様な風貌で飛び出してきた事が発端だった。その時私は反射的に『殺戮魔法』である『アンサンブル』を使い、彼女を倒そうとしたのだが…………………彼女は『殺戮魔法』を全て受けきっても死ななかったのだ。
一撃必殺系である『殺戮魔法』はどれだけ強かろうと大抵の人間やモンスターなら一発喰らっただけでも致命傷のはずなのに、なぜか彼女は死ななかったのである。むしろ、ゾンビみたいに腐食してそうな肌が元に戻っていった事の方が衝撃だったのだけど。
「…………………で、体術では当然かなわないと私は諦めて降伏した……………あの様子だとランタンが仮面被る前に絞め落とそうとしてきそうだったしね……………。」
「まぁ、多分出来たと思うよ~。でも、主人としてそこは信頼してあげないと。ランタンちゃん目茶苦茶落ち込んでるよ~。」
それについては否定できないので後でフォローはしようと思っているが…………………その前に、私は身をかがめながら彼女の足を払う様に蹴りを入れようと動く。しかし彼女はその蹴りを跨ぐように避けてしまう……………いや、どれだけ自然な形で跨いじゃってんの?とは思ったけど。
「………………………せめて奇襲くらいは擦らせてよ、剣城ちゃん。」
「………………うるさい!!つーかお前の名前はなんなんだよ!!」
私はそう叫びながら手錠の部分を当てるように腕を振って殴ろうとするも、あっさりと彼女に避けられたあげくバランスを崩して尻餅をついてしまうのだった。