クラリスと従者-5
そんなやり取りをしていると焔がクエストから戻ってきました。焔はフェーリアとペトラを見ると少しだけ警戒していましたが、私と宮永さんの様子を見てすぐに警戒を解いた後、自己紹介をしたのでした。ただ、その後私の従者としてという立場で色々と言い合い始めたのですけどね……………。
「私は主に戦闘で主を支えてきた。そちらのメイドは料理や家事らしいが……………貴様は何をやっていた?」
「私はスケジュールの管理や観察記録、危険人物の断定や紅茶などの飲み物の用意等だな。だが今は『調薬』などの生産系の物が手に入ったからそちらのサポートに回らせて貰う。戦闘も多少は出来るがまだまだだからな…………。」
「そうか。まぁ、お互い出来るところで変わってやった方が効率が良いからな…………。しかし、体を鍛えるのをやめる事は無しにして貰いたいな。もし私が死んだ時に体が鈍っていて主もろとも死ぬなんて事はあってはならない。」
どうやらお互いの役割をハッキリさせたらしいです。まぁ、フェーリアも弱いわけでは無いですけど、彼女は主に拳銃がメインであり、拳銃の弾に最適な鉄や火薬が手に入れられないアスタリアではあまり役に立たないでしょう。他にも空手等の心得も持っていますが、モンスター相手に通用するかと言えば微妙ですしね……………。
「しかしあっさりと協定が結ばれましたね……………。私はもう少し対立するかと思いましたけど。」
「それは彼女がSPの立場で無く執事の立場の人間だった場合ですよ。自分が出来ない事をやってくれる人間ならば対立しない方が従者として最適な行動だと思いますが………?」
まぁ、無駄な争いをしている場合では無いでしょうからね………と思いながら私はペトラの方を見ます。ペトラは料理担当という事で食材の確認をしていました。…………………まぁ、黒華鉄さんから送られてきた肉ばっかりなので献立を立てるのがかなり難しいとは思いますけどね……………。
「……………………とりあえず野菜が欲しいですよ。下手するとお嬢様……………織村様に会うまでに服のサイズが……………大幅に変わってしまいますよ!?下手すると織村様にフラれる可能性も…………。」
その言葉には何も言い返せませんでした。というか、家の中で焼いていたので天井裏にいた2人にはかなりの量の煙が行った事もあると思うのでその仕返しなのかとも思ってしまいますけどね………………。
「野菜もそうですが、出来れば網焼き用の鉄網が欲しいですね。それに木炭はあるかどうかも気になりますし…………外で焼いても構わないかも知りません。とりあえず明日にギルドで『調薬』関連の依頼を受けるついでに聞いてきますね。」
「できればタジン鍋の様な水を使わなくても使える物も欲しいですよ。ここの水が安全なのは確かですけどカロリーを抑えるには色々と欲しいですし。」
そんなこんなで私達は今の体形をキープするという目的で生きていく事になったのでした。…………………まぁ、脂ぎった肉や揚げ物ばかりの食事ばかりでは生きられる物も生きられなくなりそうでしたから誰も反対しませんでしたけどね………………。