クラリスと黒華鉄-3
『……………………いや、本人と信頼できる人間と話し終わったのだから私に本心を聞く必要は無いだろ…………。私は織村には興味ない。まぁ、食料は送ってるが自分で食い切れない物だ。それにクラリス側にも送ってやってるだろ?多少種類は違うが、織村側に揚げ物が行ってないだけで。』
「まぁ、そうなんですけど………………なんというか、黒華鉄さん本人と話がしたくて。もしかしたら黒華鉄さんはアスタリアに来てたかもしれないじゃないですか。」
黒華鉄さんは1日目で廃教会を飛び出したのですが、もし止める事が出来ていれば、私達と同じ様にアスタリアに向かったと思います。…………………まぁ、あの時の黒華鉄さんの心境を考えると廃教会に残ってくれる確率は低いですけどね。
『………………下手したらあの美華と一緒。しかも見殺しにすら出来ない状況になってたんだ。そんな環境にいたくなかったから廃教会からさっさと出たのは正解だったな。あの糞女と糞親父の息子だし、実際に私の事を只の道具として扱おうとしてきたしな。だから見殺しにした。まぁ、あれは美華の自業自得だが。』
「自業自得って………………いや、アイツならありえるかな?というか、話を聞く限り黒華鉄さんは妾の子じゃなくて正妻の子ですよね?その時に結婚してたのは黒華鉄さんの母親なんですし。」
「そうですね……………。本来ならば前妻の子という方が正しいです。なのになぜ妾の子に……………?」
黒華鉄さんは『アレはあって無いような親の七光りを必要以上に主張しただけ』と結論づけていました。まぁ、その意見には同意できますね…………と感じました。私達が向こうの世界で死ぬ前にも美華家は評判が少しずつ下がっていましたしね……………。
「……………でも、黒華鉄さんがあのまま成長していたらどうなっていたんでしょうね…………?今はとても冷めた笑みをする人に思えますけど……………。」
「さぁね。それは私にも分からないよ。ただ1つ言えるのは、今とさほど変わらない可能性が高いことだけだ。髪が長いか短いか…………………母さんが生きていない限り、これは変わらないよ。あの糞親父と糞女が生きていたせいで私はここまで冷めた性格になったのだから。」
その後、黒華鉄さんは宮永さんに『失礼かもしれないが、歪んだ関係の恋愛はするなよ』と言って、宮永さんは『確かに彼氏はいませんけどそんな事はしたくありませんよ……。』と返しました。その後、黒華鉄さんは私にあるアイテムを送ってくるのでした。
………………………黒華鉄さんの言う歪みとは別の歪み方になりそうな物なんですが…………と思いながら、私はそのアイテムを使用するのでした。…………………隆一郎が浮気をしないようにしないといけませんからね…………。