クラリスとアスタリア-4
「宮永さん、右から『鎚蜥蜴』の尻尾が来ます!!避けてください!!その後、尻尾を切り落としてから離脱してください!!」
「りょーかいです!!」
こんな連携をしながら私と宮永さんは狩りを続けていました。幸いにも汚れを簡単に落とす事の出来るアイテムがあるので淑女らしく服を汚さずに闘うことを考えなくても良いのでより短い時間で狩りを終わらせることが出来たのでした。
「『ハネウサギ』は運良く3体まとめて倒せましたけど、『鎚蜥蜴』は見つけるまでに時間が掛かりましたね………。『鉈蜥蜴』等の似たモンスターは出て来やすかったんですけどね…………。」
「それよりもクラリスさん、解体手伝ってください。目玉や舌が意外に高く売れますけど基本的には皮と肉が売り物ですし、討伐部位として尻尾の部分は必要なんですから。にしても転生するまではここまで大きな蜥蜴が存在するとは思いませんでしたよ。軽く1メートルはありますし…………。」
宮永さんは手慣れた様子でモンスターを解体していき、あっという間に『鎚蜥蜴』を部位事に分けてしまいました。ちなみに目玉と舌は漢方薬の様な薬を作るため、皮は鞄や盾、肉はそこそこ美味しいです。ですが『鎚蜥蜴』の1番の特徴は尻尾に出来た鎚の様な形と大きさになった尻尾です。
この尻尾は鉄としての価値が高いのですが、尻尾を切り落とさないまま闘うと『鎚蜥蜴』はかなり嫌なモンスターとなります。それは高い攻撃手段を持つと同時に生命維持装置としてその尻尾を使ってくるからです。そして、尻尾を生命維持装置として使われると鉄の部分の質が徐々に悪くなっていきます。それにしぶとくなるので尻尾を早めに斬っておくのが『鎚蜥蜴』の闘う過程の中で1番重要な戦術でした。
「これでクエストも終了しましたし、今日は採取を少しだけして帰りましょうか。これ以上狩るのもあまり良いとは思えませんし。」
「そうですね。じゃあこの先に落ちている栗とどんぐりを拾ってから帰りましょうか。………………その過程で何も出て来なければ良いですけど。」
「いや、何かして時間をずらしておけばそのフラグは回避出来たじゃないですか。なので今回も時間潰しますよ。最初に潜った時に『ホークバーン』と遭遇して本気で死の恐怖味わっているんですから…………それにどんぐりはともかく栗は食べられますからね。」
私と宮永さんはそう言いながら狩りをしていた森の少し奥へと向かい、栗とどんぐりを何個か拾ってから帰るのでした。まぁ、その時には私にとっての敵が何名か出てくる事に気付いていなかったのです……………。いや、モンスターでは無いですけどね。