織村隆一郎と検証-4
『絶品中華鍋』を使用して腹が膨れたので、食材関連の物や『嗜好のタジン鍋』と『ジビエ料理セット』等はまた今度検証する事にして、俺達は『食探マップ』の効果を確認してみるのだった。
食探マップ
・価値 30万G
・自分の食べたい素材を記入すると、その素材を作っている街までの道のりが記される不思議な紙切れ。食べられない物は記入しても何も起こらない。しかし、味噌や砂糖などの加工品を書いた場合、エラーが起こり何も記されないままビリビリに破けてしまう。その為味噌は大豆、砂糖はサトウキビ又はテンサイと記さなければならない。書いた素材が存在しない場合、デタラメな次元移動の原理が表示された後、ビリビリに破けてしまう。
……………………………これ、転生者と転移者にとっては宝の地図と同じなのでは?と思えてくる。…………………ただ、これを使って探す物は慎重に選び出さなければならないだろう。そう思った俺達は33枚ほど使うことにした。
「話し合いの結果、このマップで探す物は牛乳と大豆、米になった訳だが……………まぁ、西洋には無さそうな野菜はまた今度探しに出るとして……………」
「まずは牛乳ですね。これがあれば一気にメニューの幅が広がるのですが………………食品売り場で聞いたところ、その様な物は無いと言われたのであるとしてもかなり遠くになりますよ………。」
照島姉がそう言うが、遠出用の馬車は既に手に入れられている為、果てしない旅になる理由は無いだろう。……………一瞬だけ『1から始める牧畜セット』という物が新生活応援ガチャで引けないかと世迷い言を思ってしまったが、そこまで便利な新生活応援ガチャは無いだろう。
そう考えながら『食探マップ』に牛乳と記入してみると…………食探マップが反応し、少々大雑把な地図が出て来た。大雑把という事はその分距離があるという事だと誰もが考えた。実際アーティフィリアがそれなりに小さく書かれているのも問題なのだろう。
「大豆と米に関しては別の国ですね。この地図からしてそちらの方は馬車を使えば4日程で往復できそうですけど、牛乳の方は馬車を使っても月単位で移動しなきゃいけないと思います…………。」
「まぁ、遠出するにも力を付けておかないとな……………。旅先で魔物に襲われて死亡なんて事は起こしたくないからな。」
本音を言えば今すぐにでも出発したいが、この世界は現実だ。自分の力を過信しない程度の力を得てから出発した方が良いだろう。それはこの場にいる全員が分かっていた為、俺達はある程度の目標を立てて力をつける事を決めたのだった。