織村隆一郎と検証-3
あれから30分程の時間が経ってから照島と美暮が戻ってきた。挽肉にするのにかなり時間がかかったらしい。……………………照島は刃物の扱いは出来るのだが、刀や剣の様に長い物に慣れている為か作業ペースが少し遅く、美暮は挽肉を作る時はそのまま買うかミンチマシーンみたいな物を使っていたらしい。
しかし、2人の労力が詰まった米と挽肉だけの炒飯はかなり美味そうな見た目をしていたのだった。………………なんちゃってと言える程材料の不足があるのにも関わらず、匂いなども炒飯独特の匂いがする。
「それじゃあ早速食べてしまおうか…………………」
「そうですね。あまり自信は無いですけど……………。調理実習で雑にやっていた黒華鉄さんに負けてましたし…………。」
「いや、黒華鉄は適当にやっているのにも関わらず材料の量が、全て適量だった気がするが……………身に染みこんでいたのだろうか?」
……………………………まぁ、黒華鉄家の話を聞いてみると、黒華鉄が料理の心得くらいは持っていると思ってはいたが、そこまでの腕は必要だったのか?と考えてしまう。しかし今はその様な情報は別にいらないだろう。
「炒飯というよりは挽肉とご飯の油炒めの方が正しいかもしれませんが…………、とりあえず食べてみましょう。『絶品中華鍋』の検証の為に。」
「そうだな………………。しかし、何の肉を使ったんだ?牛肉や豚肉等は入っていなかったからな……………………。」
すると照島が狼肉を使ったと言った。………………昨日食べたピザが影響しているのだろうな……………と思いながら食べてみる。揚げるための油はまだ手に入れられていないが、今回は牛脂ならぬ狼脂で炒めたらしい。
「……………………………………美味い……………。」
「気付いたら一気に喰っとったわ。いつの間にか料理が目の前から無くなっちょる………………。多分おかわり貰ってもあっという間に無くなる自信あるわ。」
「緑さんの言う通り、気がついたら食べ終えていましたね………。これがなんちゃって炒飯じゃなくて材料揃えられていたら何処まで伸びるのか…………………。」
「作った自分でも困惑してますよ。これ使うときには下手な味見は禁物ですね…………。気がつくと全部食べていたという事があり得そうです。」
「……………………………確か美暮の家庭科の成績は5だったよな?皇学園で最大評価を貰うレベルの人間が調理するとこうなるのか……………。普通のプロが使えばどれくらいの味になるんだろうな………?」
狩綱がそう言うが、俺達はそれを実行したら色々な意味で戻れなくなりそうだと思った為、別の物の検証に移るのだった。いや、下手すると廃人になりそうだという事は分かりきっているしな………と思いながら。