織村隆一郎と墓参り-2
「俺達が墓参りの時の状況はこんな感じだったな。大分過去形になっているのは、転移の時に落下した時の衝撃でついさっきの事とは思えなくなってるんだよ。」
「まぁ、あれだけの高さから落ちてきたらそうなるよな…………。」
「………………まぁ、転移の時お決まりの『高い所から落ちてきても骨折すらしない』を体験したしな。雲を通過する過程がある場所から落とされたら普通、着地と同時にミンチになるはずだし。」
流石に転移した者を無理矢理死に追い込む事はしないかと思いながら俺は苦笑した。まぁ、俺達がいたからかもしれないがな……………。下手すると強制的に転移直後に転生という流れを体験させたかもしれないのだ。…………………………俺達の時は隕石の落下から死までの過程の記憶がぶっ飛んでいるのでトラウマは無いが、記憶に残りやすい死に方を体験すればトラウマは残るだろう。
「話を戻すが、俺達は慰霊碑に線香を立ててから花束と菓子…………………それと一色が面白がって持ってきた新発売の『辛そうで辛くないピリッと辛い赤いモズク』と美暮が持ってきた和菓子と俺が持ってきた金鍔を供えてから、天部を連れ戻そうとしたんだよ。」
「元々天部は墓参りでは無く調査のために来たんだが、俺達の墓参りが終わるまでという条件付きで入れて貰えたんだよ。」
…………………………………………この流れでいけば天部が今回の転移の鍵となるのだと感じた。だが、緑の供えたという『辛そうで辛くないピリッと辛い赤いモズク』の方に意識を向けてしまう。名前からして俺の家と取引のあった会社が発売したのだと思うが、迷走しているなぁと思ってしまうのだった。
「まぁ、天部を連れ戻そうとした時に……………一色が面白がってスマホゲームのあるアプリを使った。『ドライズ・オンライン』という俺達の感覚で1年前に配信開始した物だ。このゲームはダンジョンサーチという機能が着いていて、1日1回だけと制限はあるが、自分の近くにあるダンジョンに入ることが出来るんだよ。」
「まぁ、ジャミングの電波ばかり出てる隕石の前でサーチしてみたら案の定、隕石の近くで反応した訳や。そのダンジョンの名前は『生死伴わず』。そしてこれをクリアしようとしたんやけど、ボスの『転世の扉』に負けた訳なんや………………。そしたら急に周りが光り出したんや。」
……………………………………………これを聞いて俺と照島姉は驚愕していた。俺達の時は課金系ガチャの景品を当てた後に転生したが、狩綱達と同じように、『スマホゲーム』が元で転生や転移をしているという事だ。その事に疑問があるが、今は考えないでおこうと思うのだった。