織村隆一郎と墓参り-1
『皇学園中等部か………………。確かに私はそこに通っていたな。成績が良ければ色々と免除されるからな………………。ただ、帝高校と繋がりがある事は知らなかったが。』
「いや、黒華鉄さんは他の生徒に関わってこなかったじゃないですか………………。なぜか私には比較的多く関わってきましたけど…。」
『体育とかでは人と関わらないのは不可能だからな………。それで話しかけやすそうな奴に声をかけていたんだよ。美暮は性格に反して運動神経良いから楽できたし。』
「確かに、黒華鉄さんのおかげで自信が持てる様になってコミュニケーション能力が上がったので蔵鮫家の跡取り候補として養子になる事が出来ましたけど…………。」
チャットを通してではあるが、黒華鉄と美暮は仲が良さそうなやり取りをしていた。まぁ、この場合美暮の方が一方的に黒華鉄に感謝しているという事なのだろうと思う。…………………まぁ、黒華鉄はあまり気にしていないのだろうが………。
「でも、墓参りに行った時にはまた会える様になるなんて思っていませんでしたけどね……………。いや、まだ声すら聞いていないのですけどね。」
『……………………そういえば転移して来たんだっけ?その時の状況はどうだったんだ?隕石が残っているという様な話だったが…………それに触れたのか?いや、触れるだけで転移するなら転移者はもう少しいる筈だし、行方不明としてニュースになる筈だ。…………ちょっと知人に聞いてみるか…………………。』
その書き込みから暫く黒華鉄のコメントは書き込まれなくなった。……………………いや、知人って誰なんだと思いつつも魔王討伐を制止する理由になった人物か?と思い、それについては放置するのだった。それより今はどの様な行動をして狩綱達が転移してきたのかという事が気になった。
「…………………まぁ、俺と一色と美暮は墓参りであり、天部は隕石の性質の研究というか調査しようと着いてきたんだよ。墓参りが目的だとしても面倒な検査を受けてからでないと入れないんだよ。それに人数も一度に4人までの制限もあるし。」
「あんだけの事件の現場やからなぁ………………。あの事件から2年近く経ってようやく関係者以外も検査ありで入れる様になった訳や。もっとも、後数年もすれば観光地にでもなるんやないかな?と思ったけどな。」
………………………………少々話がズレてしまっていたが、狩綱は俺達に、転移した時の過程を話してくれたのだった。もっとも、転移した者達もなぜこうなったのかは100%理解した訳ではなさそうだけど。