織村隆一郎とメテオ・エンペラー事件-2
隕石を回収しようとしたのは、似たような隕石が落ちてきたとしてもそれを認識する為なのだろう。だが、現在の技術力で回収できないというのはどういう事なのか……………そんな疑問を持ちながら俺は狩綱の話を聞いた。
「回収できなかったって……………どういう事なんだ?」
「……………あの隕石には機械を狂わせる効果があるらしくてな………………。あの大きさと硬さだと重機でどうにか運べるレベルだが、その重機が使えないんだ。人力で壊す事も出来なかったしな。」
「それでジャミングの方をどうにかしようとしているが、未だに解決できていない………………か。まぁ、それくらいのご都合物で無いと転生には使えないか。」
まぁ、ジャミングを回避するのがかなりキツいのは分かっているつもりなので豪勢に笑おうとは思わない。しかし、隕石が回収されないという事は、帝高校が建て直されることは無いのでは?と聞いてみると狩綱は頷いた。
まぁ、俺達を殺した隕石が敷地内に残っている事と学園長がいなくなった事が合わさって、向こうの世界で帝高校が復興している事は無いだろう……………というか、狩綱の言い方からするに復興は元々出来そうに無いと判断されたな……………と思う。あれだけ生徒が集まっていたのも元を辿れば学園長の手腕だし。
「…………………話を戻すか。『メテオ・エンペラー事件』で帝高校の生徒が全員死んでしまい、跡継ぎ候補の優秀な人間が死んでしまった事から、皇学園に白羽の矢がたった。一応皇学園も優秀な生徒は多いからな。」
「た、確かそのプロジェクトの名前は『皇養子検定』でした。簡単に言えば会長や社長夫妻がテストや人柄、趣味などの経歴を見てからスカウト掛けるという物です。簡単に言えば跡取り候補を家に迎え入れるという物ですね。勿論、生徒の意志の方が尊重されますけど。」
美暮はそう言っているが、狩綱曰く彼女は初めは断るつもりだったらしい。しかし、彼女は数年前に両親を亡くしていた事と、蔵鮫家の2人が憔悴しきっていたのを見て受け入れたらしい。まぁ、1年程で安定したらしいが………………美暮がいなくなってしまったとしたら、またふさぎ込んでしまうのでは?と不安になりつつもある。
「ちなみに俺も龍之宮家の方でスカウトされたんやけど…………………俺には責任感とか無いからなぁ…………断ったんや。ただ龍之宮家から聞いた話やけど、美華家はこの制度を悪用しようとしているのか?って程に異常な呼び込みしとったらしいで。」
「………………………一色達は美華家関連の事を知らないからな…………。それでもあの呼びこみ様を見ていたらヤバい家だとは分かっただろうがな………。」
……………………………………結局ここで出てくるのは美華家なのかと俺はため息をついた。それはチャットを関して話をしているクラリスと黒木、当事者でもあった黒華鉄も同じようにため息をつき、どれだけ浅ましい考えを持っているのかと呆れているのだった。