織村隆一郎と転移者-4
…………………緑が自己紹介を終えると、緑の後ろにいた2名も自己紹介を始める。とはいえどの様に自己紹介をするかという事で困惑している様子だった。いや、緑の自己紹介の軽さを見ていれば仕方ないとは思うのだが。
「………………私は美暮 奏多です。あの事件の後ゴタゴタに巻きこまれた結果、蔵鮫家の跡取り候補として養子になったのですがまさか私もいなくなってしまうなんて迷惑ばかり掛けてしまっているなぁと思っています…………。」
「僕は天部 美佐夫と言います。狩綱さんが帝高校跡地に行くという事で着いて来ただけの、隕石オタクです。…………………いや、まさかこんな事になるとは思っていなかったんですけどね。」
こうして狩綱側の自己紹介が終了した。………………だが、その会話の中で気になったのは、俺達が向こうの世界で死んだ後の騒動に関しての事だ。俺にはまだ妹がいるので跡取りに関しての問題は緩和されているが、美暮が養子になったと言う蔵鮫家の様に一人っ子の事の方が多い。………………つまり跡取り候補がゴッソリと死んでしまったので皇学園で一悶着あったのだろうと思う。
「……………………………まぁ、色々と問いたい事はあるが、俺と照島の自己紹介が先だな……………。俺は織村 隆一郎。元織村家の跡取りだった。まぁ今ではしがない冒険者だな。」
「私は照島 聡美と言います。有名な日本舞踊の家元だったのですが、今では殺陣の様な斬り合いをしたいただの冒険者です。最初に言っておきますけど、私と会長は美暮さんの思う様な関係ではございませんよ。会長には既に心に決めた方がおられますので。」
照島姉がそう言うと、美暮は顔を赤くした後にすみませんを連呼した。……………………まぁ、照島姉は恋人や友人という感じでは無い。簡単に言えば戦友だろうか?と思いながら俺は狩綱にあの事件の後の事を聞いてみることにした。…………………ただ、この事に関しては立会人が多い方が良いだろうと、チャットで御子柴と群雲を呼び出してから、生徒会チャットを開いた。
「最初に言っておくが、家関連の話は俺の家と関わりのある家と、美暮が知っている蔵鮫家…………………後は一色の情報網に引っかかった物だけだ。それでも良いか?」
「あぁ、問題ない。俺達のいなくなった世界がどうなってしまったのか、急に死んでしまった俺達には知る義務があると思うんだよ。………………まぁ、知ったとしても元の世界には戻れないと思うけどな。」
俺がそう言うと狩綱は苦笑していたが、皮肉っぽくなる訳でも無く、そのまま話を始めた。ある中二病っぽい学者が付けた俺達が死んだあの日の事件……………『メテオ・エンペラー事件』の全貌を。