織村隆一郎と転移者-3
狩綱の言うタイミングの良かったという台詞は、帝高校の全生徒と全教員が一同に揃っている日に隕石が落ちた事……………いや、正確にはガチャを引いた教師が『異世界への鍵』というアイテムを引いた事だ。…………………本来ならば転生するのは彼だけで良い筈なのに、なぜ俺達も巻きこむような方法で『死』を与えられたのだろうか?
「確かにタイミングが良すぎるっつータカやんの主張も分かるわ~。なんせ多忙な教師やら家の事情で新学期にはあまりいないとデータがある生徒までもが集結しとったからなぁ~。普通ラノベなら転生の時に死ぬのは交通事故か病気のどちらかや。まっさか現実の世界で隕石による転生なんて誰も思わんって。」
「…………………意見は的確だが、下の名前をもじるくらいならそのまま名前で呼べ、一色。」
「ちょっ、タカやん………………。俺達は誤解されないようにタカやんとリューイーソーと呼ぶ友人関係にしようって言うたやん。」
「………………いや、体育祭の実行委員に入った時からの付き合いだが誤解されるような事は何もしていないだろうが。その頃からタカやんと呼ぶなと言っている筈なのにも関わらずお前という奴は………………。」
俺と狩綱が話していると、途中で考察を入れてきた男は狩綱とは長い付き合いらしい。まぁ、話を聞いてみると彼は一般人寄りの生徒でありながら狩綱と仲が良いらしい。まぁ、仲が良いなりの口論をいつまでも続けさせる訳にはいかないので俺は狩綱に彼と残りの2人についての説明をして貰っておく事にした。
まぁ、転移した理由を聞く前に彼等の事情を聞いて置いた方が良いと判断したからだ。流石に彼等は皇学園の生徒会だったとかいう関係では無いのだろう………………というか最初の1名は面白半分で着いてきたという雰囲気がある。
「…………………………まぁ、最初に名前だけ自己紹介しておけ。まぁ、家柄とかは元の世界に戻れない以上言わなくてもいい…………特に一色、お前は余計なことは喋るなよ?」
狩綱がそう言うと、一色と呼ばれた男は分かっているようなわざと分かってないふりをしようかという態度で自己紹介を始めていた。………………ちなみに俺と照島姉の自己紹介は後にさせて貰う事になっている。まぁ、名前だけなら知られている可能性があるが。
「じゃっ、俺からやね。俺の名前は緑 一色。まぁ、気軽にリューイーソーと呼んでくれぇな。からかわれても気にせぇへんくらいの役やからなぁ。」
………………………………狩綱がそのままだとか言っていたが、本当に彼の名前はそのまま繋げればリューイーソーと読めると思うと、俺はどんな珍名だと思いながら頭を抱えるのだった。