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織村隆一郎と転移者-2

「あの日、帝高校に隕石が落ちてから皇学園は暫く休校になったんだ。簡単に言えば、帝高校の卒業生等のデータを処分する為に、学園長の家の使用人兼皇学園の学年主任達が向かうためだった訳だ。」

「まぁ、各企業の機密なども保存してあるからな……………。俺達はすぐに死んだという事になっているだろうからどれくらいの被害が出たのかは分からないが、地下7階程の深さに保存されていると噂の所までは抉れなかっただろうしな。」


俺がそう言うと狩綱は頷いた。隕石によって抉れたのはせいぜい地下3階分くらいらしく、エレベーターが使えないために1年近く掛けて処分を進めたらしい。帝高校と関わりのある皇学園に隠すという事もある意味正解かもしれないが、廃校同然の高校の機密を守る為だけにセキュリュティのレベルを上げられる程の予算は皇学園には無いらしかったので処分した方が速かったのだろう。


「………………………正直、機密の回収よりも死体の回収の方が大変だったぞ………………。」

「俺達の死体はかなりグチャグチャになっていたとかか?それだと個人の特定等も含めて大変そうだな………………。まぁ、その位の覚悟はしていたがな………………。」

「そうですね。隕石の熱などで灰になっていてもおかしくありませんが…………………グチャグチャになるのは嫌ですね。お母様方が失神してしまいます。失禁まではいかないでしょうけど。」


俺と照島姉が楽観的に言うと、狩綱は顔をしかめた。その後彼の口から出た言葉は、俺達にとって衝撃な事だった。だが、一番衝撃的だったのは狩綱達の方だと思うと、俺は口から声を出すことは出来なかった。


「いや、生徒と教師の大半は多少の損壊がある物の…………………死んでいるかのように思えない程損傷は無かった。まるで病気で冷たくなっただけと思うくらいの…………………隕石が落ちたとは思えない程綺麗な死体だった。」

「………………………ちょっと待ってくれ。美品ってどういう事だ?俺達はあの隕石がどれほどの大きさかを知っている。あれだけの隕石が落ちてきて、死体が一部損壊で済む筈が無い!!」

「俺だってあの時の隕石には分からないことだらけなんだよ!!あの隕石をなぜ各宇宙ステーションは予想できなかったのか、隕石による被害が帝高校の敷地内で収まったのか、何よりも気になるのが…………………なぜあそこまでタイミングが良かったかだ。」


狩綱の叫びを聞いて俺達は改めてこの転生は異常だと思うのだった。ただこの転生に使われた隕石は完全にご都合主義の塊なのだと観じてしまうが、俺は狩綱との会話を継続するのだった。

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