織村隆一郎と照島聡美-5
「会長の妹さんが考えていたのは、偽装結婚した後にこっそりと会長を襲って子供を授かるという物でした。……………まぁ、これは憶測なのですがその相手は黒華鉄さんだったと思います。御子柴さん曰く会長の家と黒華鉄家は比較的近かったらしいですし。」
「…………………………ありえるな。ただ、黒華鉄家はいつまで黒華鉄に男のふりをさせようとしていたのか…………だな。龍之宮家の令嬢と婚約したりしているから大人からもずっとだったのか?」
真実を聞くことは当事者の黒華鉄にも無理だろうが、一生男のふりをするという事であったなら仁実にとって好都合だったという事が分かる。ただ、黒華鉄が失踪した頃に諦めているので思考が変になっていただけなのだろうと思うので救いはあったのだが。
「…………………しかし、この世界に来てから生き生きしている奴の方が多いんだよなぁ………………。俺も少しだけ楽しんでいたかもしれないから叱ることは出来ないが………………むしろトイレットペーパーを使った交渉の時には楽しんでいたように思えるな。」
「まぁ、奴隷関連の所は面白くなかったでしょう?あの時に刀があればあの用心棒も斬り倒せたと思うのですが……………。」
それはしなくてもいいだろと思いながら俺は話題を変更する事にした。話題としては………………………皇学園についてである。帝高校は基本的に高校として他校と交流する事は無い。部活などでは普通に交流するが、何分人数と部員が少ないので深い交流とは程遠いだろう。
「………………………皇学園は一般の生徒も多いですから文化祭や体育祭等は色々ありますよね……………。私も、子供の頃に帝高校に登録されていなければそちらの方に行っていたかもしれませんし。」
「帝高校は基本的に登録しておくタイプの入学方法だが、皇学園は普通に受験する高校だからな……………そうなるのも仕方ないんだろう。」
まぁ、帝高校は登録を破棄や無視した場合には多額の賠償金を払わなければならないというデメリットがある。そのせいで黒華鉄はこの帝高校に通わなければならなくなったという事なのだ。まぁ、帝高校は授業が企業などの専門知識に関して高レベルな授業が行えるので登録を破棄する事は滅多に無いのだけど。
「…………………………まぁ、皇学園ではレベルが高い事以外普通の授業なので、そちらを希望する人も多いんですよね…。」
「まぁ、どちらにメリットを感じるかは人それぞれだからな……………………。まぁ、中には引きこもり希望だった奴もいるわけだが。」
そんな話をしていると、上空からなにやら凄い音が聞こえてきた。簡単に言えば、何かが高スピードで落ちてくる音………………。それが俺と照島姉の20メートル程先に着地したのだった。