織村隆一郎と照島聡美-4
照島は俺と二人きりになった事で狩りに行こうと騒ぐ事は無かった。ただ、顔を赤くするという事も無いのでこの様な状況には慣れているのだろう。そう思っていると照島は俺にこんな事を聞いてくるのだった。
「そういえば会長には妹さんがいましたよね?」
「……………………かなり内密な情報だったはずだが、なぜ知っているんだ…………………。いや、色々と習い事には行かせていたから知っていてもおかしくないか。」
俺の妹である織村 仁実は現在高校一年生である。しかしこの世界に転生はしていないだろうと思われる人間だ。まぁ、帝学園に入学していないからなぁ……………………。まぁ、それは仁実が中学からの友人と別れたくないからという理由だったのだが。
「まぁ仁実は習い事経由での伝手が増やしているからな…………正直ネットワークを広げるだけなら仁実の方が上手いだろうな。」
「私も日舞の稽古の時に知り合ったわけですから、その言葉は正しいと思いますよ。……………まぁ、なんというか、とても日舞を習いに来た様なお淑やかさの感じられないお嬢様だったのですが。」
それは照島姉も同じじゃないか?とも考えたのだが、俺は口には出さなかった。照島姉は殺陣がやりたくてフラストレーション溜めているだけでお淑やかでは無いという訳では無いのだ。だが、俺の妹である仁実はお淑やかな性格では無かったのである。
「まぁ、ここには転生していないだろうよ。仁実は別の高校に通っていたからな………………。まぁ、皇学園は一応帝学園と関わりがあるが、転生したのはあの隕石で死んだ者だけの筈だ。少なくともあんな隕石が2つも落ちてきたと報道されればそれだけでパニックが起こるぞ……………。」
「………………………でも、チャットの前に高校の名前がついている時点で疑うべきですよ?流石に皇学園の方でもあんな事があれば世の中大騒ぎになると思うのですけど。」
まぁ、大手企業の跡取り候補がまとめていなくなれば世間でニュースになってもおかしくない状態だ。………………それに、皇学園は帝学園とは違い、一般市民であっても普通に入学できるのも売りとなっているので生徒数は帝学園よりも多いので気まぐれで転生させる事は無いだろうと思うのだった。
「………………で、妹がどうかしたのか?」
「いえ、日舞の稽古の時に仲良くなってからある計画について教えられたのですよ。まぁ、それはかなわないとブラコンだったらしい仁実さんは諦めたらしいですけど。」
その計画の内容は確かに実行できない……………というか、実行されたら俺はクラリスに半殺しにされるのでは?とも思える様な内容だった。まぁ、諦めたのは中学生の初め頃らしいので救いはあったのだけどなと思うのだった。