織村隆一郎と照島聡美-3
照島姉はガッカリした様子で(略)シシフィートを見ていた。あれだけ強がっていた(略)シシフィートが呆気なく倒れたからだろう。それも、殺陣を意識して避けるばかりでいなければさらに勝利は早まった事から明らかだ。
「思ったよりも早く砕けましたね………………。まぁ、これで私の勝ちは決まりましたので、二度と弟を『ラクタガ鍛冶店』にお誘いならないようにお願いしますね。」
照島姉がそう言うと、(略)シシフィートは一瞬だけ照島姉に縋ろうと視線を動かしたが、照島姉の迫力に押されてすぐに視線を逸らしたのだった。………………まぁ、照島姉に照島との仲を取り持って貰おうと思ったとしても、これまでの経緯から不可能だろうと感じるのだった。
「………………………………それにしても、あそこまで粉々になるなんてどれだけ脆い武器だったんだ………………?いや、刀が硬いだけなのかもしれないが。」
「まぁ、姉様はその位出来ますよ。まぁ前の世界ではあそこまで腕力は無かったんですけどね。流石に前の世界でさっきと同じ様な事出来る姉がいたら恐怖以外の何者でもありませんし。」
その後、(略)シシフィートは「絶対に『ブラックスミス』を潰して聡に振り向いて貰うんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と言った捨て台詞を言いながら去って行った。いや、『ブラックスミス』を潰しても照島は振り向く事は無いどころか完全な拒絶される事が分からないのだろうか?と思う俺なのだった。
「…………………それでは、私もここで失礼させて貰う。審判役ももういらないだろうからな。」
「確かにこのメンバーで決闘する程暇ではありませんよ。」
「それは分かっている。純生産職と生産職、戦闘職の物では組み合わせの段階で無理だと分かるからな。」
そう言ってシガー郷は狩りに行く方向へと去って行くのだった。ちなみにシガー郷は狩猟2段らしい。それが分かっていたのか、新品の刀を壊したくなかったのか照島姉はシガー郷に勝負を挑むことは無かったのだった。
「…………………………じゃあ僕は『ブラックスミス』に戻りますね。ポーションを作って起きたいので………………というか、打ち粉作りが間に合いそうに無くてポーション作る時間を削っていたのでそろそろ作っておかないと不安になりますから……………。」
「ポーション専門店では無いからそこまで気負う事は無いと思うが………………いや、ポーション作りは鍛錬に近い行為だったよな…。」
そして照島が去った後、俺は照島姉と二人きりとなったのだった。…………………まぁ、俺には既にクラリスという心に決めた女がいるので、この状況ではむしろ照島姉に「ガンガン狩りをしていきましょう!!」という雰囲気になりそうだと感じるのだった。