織村隆一郎と刀-1
『ブラックスミス』に入った俺を見ると、すぐに店主が照島に合図を送っていた。まぁ、他にも客が来る事もあるだろうから素材をそのまま放置しておく訳にもいかなかったのだろう。
「ようやく来たか…………………。」
「すまない。少し野暮用が入ってな……………遅くなってしまった」
「まぁ、お主にも色々あるのは承知しておるからの………。とりあえず、この素材の中から良さげな物を選んで、『精錬』してみろ。良い武器を作ってやる………………素材によって武器の形は変えるがの。」
まぁ、鉱石によって合う武器は違うだろう。…………………まぁ、送られてきた抱き枕の関係から剣の方がこれからの生存率が上がるだろう。そう思いながら俺は素材を選び始め………………10分程考えた後に素材を決定したのだった。
「………………………これとこれとこれだな。それじゃあ『精錬』するか…………………。『精錬』!!」
「いや、別に叫ばなくても発動するじゃろ………………まぁ、素材が精錬されているのは分かるがの…………毎回叫ぶのはやめておくれよ。」
「すまない。次からは気をつけよう。」
「まぁ、それはそれとして………………お主はかなり面白い組み合わせにしたのぉ…………。これは作るのも楽しみじゃ。」
そう言いながら店主は俺が『精錬』した素材を奥へ持って行くのだった。…………………ちなみに、俺が選んだ素材は以下の3つである。もっとも、刃の部分だけの素材で、柄の部分は向こうが選ぶらしいのだが。
精錬された錬磨石
・価値 400万G
・スキル『精錬』によって不純物が取り除かれた錬磨石。鍛冶用のハンマーで叩きつける毎にその硬さや威力が増していく、鍛冶師ならば誰もがこの素材を手にして最高の武器を作成しようとする程の素材。精錬された事により鍛え上げられる最大値の概念が消え去り、常に進化を続けられる様になった。その為価値が1000倍に引き上げられている。
精錬された鮫牙銀
・価値 800万G
・スキル『精錬』によって不純物が取り除かれた鮫牙銀。銀鮫という銀を喰らい牙とするモンスターが死んだ時に取れる牙から手に入れた物。しかし、質の悪い銀を食べている事もあった為不純物が多かった物を取り除いた事で、鮫の力を吸収した銀として生まれ変わった。この銀を混ぜた物には斬撃の傷をさらに深くえぐる効果を持つ。
精錬された紅蜥蜴鋼
・価値 70万G
・スキル『精錬』によって不純物が取り除かれた紅蜥蜴鋼。炎を宿している為、精錬前はこの鉱石をランタンに入れれば灯り代わりにもなり、鉄板にすれば火を使わなくとも焼き肉パーティーが出来るような物。しかし不純物が取り除かれた事により、魔力を流す事で炎を操る事が出来る様になる。
そんな感じで素材の選択を終わらせた後、『ブラックスミス』の扉が開いた。まぁ、そろそろ客が来てもおかしくないよなぁ………と扉の方を向くと、狩りを終えてきたのであろう照島姉が入ってきていたのだった。