織村隆一郎とチャット-1
その後、俺達の新居で生き残った仁道先生と蕪子先生を引き取り、クラリスの方で同じく生き残った藤河先生と三波先生を引き取った。………………流石に『アイテムギフト』というアプリでも人間をアイテムBOXの中に転送するという事はせず、仁道先生と蕪子先生はアイテムBOXの近くに立っていたのだった。
「数日振りだなぁ、織村!!群雲に御子柴も元気にしてたか!?まぁ、学園にいる時よりも生き生きしているから答えは聞かないがな!!」
「本当にそうですね……………。ただ1年2組には英会話部の子もいたので、挨拶をしておきたいですが…………。集まっている所は何処でしょうか…………?」
2人の第一声は、教師の鑑と言えるような程の生徒の心配の言葉だった。まぁ、こちらにも担任教師が何名かいるのだが、仁道先生は俺が1年の時に合気道部入っていた事と、2年の時に生徒会顧問としてお世話になった事もあってこうなるのは分かっていたのだけれど。
「でも、どうして仁道先生が魔王討伐に……?蕪子先生も学園長の元に残ると思ったのですが…………。」
「簡単に言えば脅されたというのが正しいだろうな。そこにいる蕪子先生と副会長の方に送られた藤河先生は能力者でな。蕪子は別の先生に脅され、藤河先生は麻袋に詰められ無理矢理………な?」
「…………………まぁ、仁道先生ならそうでもしないと着いていかないでしょうけどね…………。ただ、なんで生き残れたんですか?」
御子柴が仁道先生に質問すると、仁道先生は首の裏の方を掻いた。その様子を見ながら蕪子先生が話してくれたのだった。まぁ、仁道先生よりは手早く話してくれるだろう。
「魔王城に行く前に『葉っぱの館』というのがあるらしくて………そこに泊まる事になっているらしかったんです。丁度その頃生き残った僕達4人は馬車の中で寝ていたんです。そして、丁度その時に黒華鉄さんに他の教師の方が殺された訳で……………。」
「つまり、馬車の中で寝ていたから助かった…………という事ですか?でも辻褄は合うなぁ………。」
「そうなりますね。まぁ、僕と藤河先生は過労で倒れていたという感じでしたけど。」
ただ、殺された教師達の武器は物凄くヘンテコな性能だったらしい。まぁ、蕪子先生のガチャはスキルばかりで武器を出した事は無い。それに加えて、1ゲームのプレイ時間で質が変わるらしい藤河先生のガチャで低ランクの武器しかないという状況になったのだった。
「…………………………ちなみに、最低ランクだと柔らかい葉っぱすら切れないほどの軽めの鈍器だからな…………。それで魔王なんか倒せるか!!と思ったのは俺だけじゃ無いと思うけどな。」
仁道先生はそう言いながら笑うのだった。……………ちなみに、仁道はその渡されたなまくら以下の剣をポキリと根本から折ったらしい。…………………まぁ、軽めの素材らしいので折る事くらいなら楽かもなぁと思うのだった。