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織村隆一郎と平行な夢-3

「……………………会長さんよ。パーティーの欠席の届けは送ってないのかよ。さっさと出してくれれば私も楽になるんだが。」

「いや、このパーティーは生徒会という団体で出るからな………。欠席の届けは出せないんだよ。出したら生徒会全員が欠席という事になると同時に、信用も無くなる。」

「……………だから金持ち業界は面倒なんだよ…………。私もパーティー自体には何回か行ったことはある。黒華鉄家では滅多に主催しなかったな。それに、規模としては今回のパーティーの30分の1くらいの奴だったし。」


黒華鉄家は質素な暮らしを心掛けているというのは聞いた事があった。まぁ、織村家等でも極端な程高級な物ばかりで身を包んではいないが黒華鉄家と比べると大分豪華と言えただろうからな…。


「そーいや、副会長はどうしてるんだ?」

「…………………今日は体調が悪いらしくてな……………家で静養しているらしい。まぁ、明日には治るだろうが………。」

「私は会長さんと違ってパーティーへの参加回数は乏しいが、これだけは言っておく。病み上がりの奴に無茶をさせるなよ。私の母だってそんな感じで病気の悪化が早まったんだから。」


…………………………黒華鉄の言う事は正しい。だが、生徒会が出なければ後に色々と面倒な事になる。………だが、クラリスを辛い目に遭わせたくないという事もまた事実なのだと、夢の中の俺はかなり葛藤していた。まぁ、俺もその立場にいれば同じようになっていただろう。いや、同一人物なんだけどな。


「………………まぁ、これから先、私がパーティーに出なくても良いなら一つだけ案はある。とりあえず副会長の家に連れて行ってくれないか。副会長を真似るくらいならどうにかできるかもしれないからな。」

「……………………いや、出来るとは思えないんだが…………。」

「………なら試してみるか?私としてはこんな技術はいらなかったんだが、『グラボー』やれる時間を潰したくない一心なんでな。」


そう言ってから黒華鉄はなにやらデカい箱を取り出していた。それは簡素な化粧箱であり、黒華鉄がその中からクラリスが使っていたような道具が出てくる。もっとも、クラリスの使っていた物とはデザインは違うのだけど。


「………………まぁ、2分程で副会長になるのは簡単だなっと……。まぁ、なるのは簡単だけど代わりに化粧落ちやすいんだよな………。安物使ってるのが原因だけど、それじゃないとしっくりこないしな…。」


…………………………現実の黒華鉄もこんな事ができるのか?と思うくらいの完璧なクラリスになった顔を覗き込みながら、夢の中の俺は驚愕しているのだった。

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