織村隆一郎と就寝-1
あれからしばらくの間、新居となる家の中を探索していた。まぁ、家具職人のビーバの作った家具が置いてある部屋が多いのか、2階は全て個室という様な物になっていた。3階には個室の間に広間があり、そこには暖炉らしき物が二つあった。
その内一つは普通に暖炉で有り、煙突と繋がっている。…………ただ、もう一つは燻製室の様な物だった。なぜそうかと分かったのかは、この家が建てられた頃に作られたらしい腐りきって食べられなくなった燻製肉があった事から判明した。
「……………………これ、当分使えそうに無いな……………。なんというか、臭いが凄いことになってるし、雑菌とかが繁殖してるだろうし」
「そうですね………………。『洗浄石』が何個必要になるでしょうかね……………。とりあえず腐った燻製肉はどうするかも考えないと…………………。」
御子柴の言うとおり、このまま腐った燻製肉を放置するわけにはいかない。それに、これさえ撤去できれば余った肉の利用法が一つ増えるのだ。…………………腐った燻製肉を撤去できれば、残る問題が燻製にするための燃料だけになるからなぁ………。
「……………………とりあえず明日の朝、ルナントさんに聞いてみますね。そうすれば適切な処理方法を教えて貰えると思うので……」
「まぁ、狩りに利用しようとしても逆に迷惑になりそうですからね……………。モンスターは瞬殺出来るでしょうけど………………衛生的に考えれば使いたくないですね。」
照島姉が言うようにこの腐った燻製肉は戦闘ではかなりの効果を発揮するらしい。……………………いや、だからと言ってそれを使うという事は無いのだが。だが、別の意味で『竜骨鋼の長剣』よりも高性能なのがまた処分に困りそうだという事を裏付けていた。
腐りきった燻製肉
・価値 0G
・限界まで腐りきった燻製肉。もはや食用とは思えないほどの硬度を持ち、別の意味で武器に使う事が出来るようになった。しかし、武器となる肉の部分は愚か持ち手となる骨の部分にも雑菌が繁殖しており、使い手を食中毒という名の苦痛を与える。
…………………………やっぱり捨てようと考えるが、生ゴミであるこれはどこへ捨てれば良いのだろうか………………と思いながら燻製室の扉を閉めた。すると、腐りきった燻製肉の放っていた異臭も途絶えた。
「………………………………………とりあえず、地下の方を見てみるか……。」
しばらく燻製肉の事については忘れることにした俺達なのであった。…………………………まぁ、明日には思い出しておかなければいけないのだがな…………………………。